メーカー | オプティマ (旧 東京ニーズ) |
ボタン数 | 3ボタン(5スイッチ3ボタン) |
ホイール | 1ホイール |
エンコーダー | ゴム巻きシャフト式 |
ボール支持 | スチール小球による3点支持 |
ボール径 | 16mm |
コネクタ | USB |
ハンディ ポインティングデバイスの市場はトラックボールが唯一 マウスよりも有利な市場なのですが、 その割には 使えてマウス!の独壇場といいますか、 他の製品も結構あるのになぜだか記憶に残らない機種ばかり。
そんななか、東京ニーズも Jr.TRACK ことNTB-700という ハンディトラックボールをリリースしているのですが、 このトラックボール、そこそこ良好だったものの ある欠点があって、市場での評価をイマイチ確立できませんでした。
というわけで、Jr.Track2こと 本機 NTB-800 は東京ニーズのリベンジになるわけです。
先代 NTB-700 は上面2ボタン、トリガー(人差し指側)2ボタン、ボールクリックという構成です。 しかし、Web閲覧に特化したという先代は、トリガー側はスクロールボタンとなっていて、 結果ドラッグ操作が事実上不可能という仕様でした。
東京ニーズとしてはハンディデバイスなんて ちゃんとしていない作業の時にしか 使わないだろうという読みだったのでしょうが、 ドラッグが出来ないというのは予想以上に不便です。 Webの評価でもこの点は辛いとの事で、 トリガーをクリックに改造する方 も出る始末。 やはりごろ寝用といえど、一通りのことは出来て欲しいものです。
おそらく東京ニーズさん所にもフィードバックがあったのでしょう。 それを受けての本機 NTB-800 ですが、 スクロールは新たにスクロールホイールを用意し、トリガーをクリックボタンに して、先代の弱点を克服しました。 ――と、そこまでは良いのですが、なにが東京ニーズをそうさせたのか、 トリガーのみならず上面にも左右クリックボタンを設けてしまいました。
どっちについてても文句が出るなら両方につけてしまえっ!という なんとも乱暴なアプローチは 「もうボタンが{上に無い / 下に無い}なんて言わせないぜっ! はっはっはっ!!」と言う 東京ニーズの開発者さんの高笑いが聞こえてくるようです。
平たく言えば左右クリックが2つづつある なんとも変わったトラックボールなのです。 このやけっぱちの開き直り――もとい、ユーザの自由度を優先したトラックボールが 誕生したわけですが、 いやはや、なんとも、大胆さあねえ。(^^;
実は、「デザイン優先」と言わんばかりの三角ボタンや丸ボタン、少し大降りなボディに ちっちゃいボールと、その外観故に猫も余り期待せず購入したのですが、 これがどうしてなかなか、結構使いやすい仕上がりでした。
正直 丸や三角のボタンはイマイチだと思いますし、 色分けのためにパーツ分けした副作用か、握ると若干ギシギシした感じを受けます。 しかし、一番不安だったボディの大きさですが、これが意外や意外、 手にすっぽりフィットする感じで良好なんです。
たしかに NTB-700や「使えてマウス!」などに比べるとかなり大降りなので、 購入前には「無駄に大きい」と思っていたのですが、 いざ使ってみると大きなグリップで握りやすいデザインで、 下半分を親指の付け根と中指・薬指でホールドするとすっぽりと手になじみます。
「使えてマウス!」の欠点の一つに、トリガーボタンをクリックすると 本体が人差し指を軸に回転する向きの力が生じて 若干使いにくいというのがありましたが、 本機はこの「ナイスグリップ」のおかげで良い感じ。トリガー2ボタンを上手く生かせるデザインです。
意外に手に馴染む本体に、気分によって使い分けられる左右クリックは なかなかどうして猫のツボを付く仕上がり、 スクロールホイールも無ければ無いで、なのですが、 やはりあればあったでとても便利です。
総じて使いやすい仕上がりとなった本機です。 確かに上下ボタンをマウスユーティリティで拡張できる仕様になっていると モアベターなのですが、クリックも右クリックもドラッグ自在で、 スクロールも専用ホイールで問題なしと、 いままでありそうで無かった、3ボタン1ホイールマウスを置き換えられるハンディ機として、 なかなかの仕上がりです。
と、ここまでは良いことばっかりの様ですが、 本機にはひとつ、大きな欠点があるのです。それは、ボールが小さいということです。
本機のボールは16mmと とても小さいものです。 先代NTB-700や使えてマウス!に比べると2周り以上小さなボールは 実用上差し支えは無いものの 残念ながらトラックボールの気持ちよさのかけらも持ち合わせていません。
使えてマウス! の送球感には十分気持ちよさが漂っているだけに、 この点は残念でありません。また、この筐体サイズですから頑張れば もっと大玉化できるのではとも思える点もまた残念です。
他にも、トリガーが少し軽すぎるのでは、ですとか、 本体を解体しないとボールの掃除が出来ないですとか 気になる点はあるのですが、 基本をしっかり押さえた仕様――左右ドラッグに不自由しない、 スクロールを自在に行える、は、 普通のマウスから本機に以降する際に「ハンディだから」と、 何もガマンしないで済む というとても大きな美点を持っています。
本機はとても実用的なハンディトラックボールです。 とりあえず、3ボタン1ホイールマウスに出来ることなら何でもできるハンディ機が欲しいのなら、本機はとても良い解答になるでしょう。 ホントに実用的で、だから猫もよく使ってしまうのだけれど、 それだけにトラックボールの魂ともいえる操球感がさっぱりなのは、とても残念です。 実用的なだけなのが惜しい。そう思ってしまうトラックボールです。
でも、本機において先代に対するユーザ要望を見事解決してみせた 東京ニーズさんなら、その次回作ならば! と猫はちょっぴり期待しています。
正面からみると、
一見 無駄に充ち満ちたデザインのように見えます。 表面積の広さに比べて小さすぎる操作部材。 しかも丸やら三角やらとへんなお遊びをしている割には ボールは小さく、ちょっと使いにくそう。 ――そんな印象を受けてしまいます。 実際はそうではないのですが、 デザインから悪印象を与えてしまうという点で あまり良いデザインには思えません。 |
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手前から。 下すぼまりのボディは実は握りやすいです。 DATALANDは東京ニーズの新しいブランドらしいのですが、 Tシャツの意味不明な英文のように、 なんだか「空間が空いてたので適当な文字を入れました」 ってなふうにも見えてしまいます。 |
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急に生き物じみてくる側面です。 猫はなんだか寄生獣のミギーを思い出してしまいました。 |
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一応ひだりっ側も。 | |
プレステパッドのような トリガボタンがあります。 コレは上が左クリック、下が右クリックになっていて、 若干ストロールが浅すぎるきらいもあるモノの、 なかなか使いやすいポディションです。 | |
裏側です。
一応於いたとき安定するように「脚」があります。 中央のネジは筐体を止めているネジではなく、 天面のシルバーのプレートを止めているネジです。 |
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ラベルです。 「NTB-800USK」の「K」は黒の「K」。赤縁モデルは「NT-800USR」になります。 |
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ネジ穴です。 画面上側は前述のとおり、天面のシルバーのプレートをはずすモノ、 下の隠しネジが本体分解用です。 |
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というわけで、天板のみをハズしてみます。 いかにもココだけハズしてくださいな設計に、 猫はてっきりこの状態でボールをはずすことが出来るようになるのかと思ってましたが、 この状態ではボールをはずすことは出来ませんでした。(TT) |
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筐体オープン。 中にはぎっちり部品が詰まっています。 このスペースだから仕方がないのだけれど、上面の左右クリックボタンは タクトスイッチです。 |
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オープン前はボールとホイールの間には無駄な空間が広がっているように
見えましたが、空けてみると
結構いっぱいいっぱいなのですね。 機械式ながら、十分にボールが小さいため、 それほど問題を感じません。 (が、猫の個体では、寒い冬の日はグリスの粘性が上がってしまい エンコーダが滑ることもしばしば。個体差だと思うのですが) |
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ボールユニットです。こうしてみると大きいのね。 ボール受けです。ボールは小さくともそれを検知する部分は いるわけで、それ故こんなに小さなボールしか設置できなかったのですね。 ただ、とてもオーソドックスな機構に 「もう少し工夫して大玉が乗せられないものかしら」と猫は思ってしまいます。 ちなみに支持球はスチールの様子。 |
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逆にホイールは結構工夫してあって、
ホイールクリックを実装していながらこの省スペースに納めています。 回転時には細かいノッチのクリック感が発生するのですが、 回転検知とは一致しておらず、2ノッチで1刻み分回転と言った感じ。 |
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この省スペースでホイールクリックを実装したカラクリがこれです。 ホイールの基盤裏にタクトスイッチを設け、 押し込まれたときに基盤ごと上下して裏のスイッチを押す仕組みは、 おそらく先代NTB-700 のボールクリック譲りの機構。 何気なく追加されたホイールですが、そこにはちょっとした苦労があったようです。 |
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本機のプリント基板です。 作成時には1枚の基盤で、組み立て時にパキパキと割って分割する様子。 この行程は楽しそうですね。 |
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コントローラチップです。 | |
トリガ側ボタンです。 プリントボタンに印刷された文字をみると、 筐体上面側が「L-1」「R-1」、トリガ側が「L-2」「R-2」だそうです。 |
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基盤をはずした筐体下面です。 手前に見える2本のスプリングは、ホイール基盤を支えるものです。 |
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MS InteliMouseとの比較です。 大きいと言われるもののさすがにハンディ機、マウスと比べても小さいです。 |
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使えてマウス!との比較すると
一回り以上大きいモノの、無駄に大きいわけではなく、
むしろ本機のほうが持ちやすく感じます。 デザインとしては、 変なデザイナ意識が混入した本機より、 使えてマウス!のもつ機能美のほうが猫は美しく感じます。 |
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ボールとDreamcastのVisualMemoryとの比較です。
というか、ここまで大きさの違うものを比べる意味はあったのでしょうか・・・。 ちなみに本機の直径16mmというサイズは、 アーベルのスクロールボールマウスの 小型版に乗せられているボールと 同じです。 |
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デザインをみると、非常にヤバそうな匂いのする本機ですが、
その仕様は非常に実用的で、
「ハンディ機だから○○が出来ない」なんてことは一つもありません。 トリガ部に配置された左右クリックは、 とても「普通」の操作感を実現するのに、 こういう配置のハンディトラックボールは意外なほどありません。 と言う風に猫は結構好印象を受けたのですが、 いかんせんボールが小さすぎます。 ようやく実用になる、といった操球感で、そこがとても残念です。 |
繰球の気持ちよさ | まったくありません。いかんせんボールが小さすぎます。 |
回り出しの滑らかさ | ボールの小ささ故気になりません。というか評価外です。(^^; |
回転中の滑らかさ | そこそこ滑らかですが。 |
ドラッグのしやすさ | トリガボタンのおかげで良好です。ただボタンストロールが浅いため慣れないとドラッグ中に誤って指が離れてしまうこと有。 |
対腱鞘炎 | ハンディ型なので評価外でしょうか。 |
コストパフォーマンス | 実売2000円でいてこれだけ実用性にも富んでいるため、なかなか良いコスト性能比です。 |
三猫のおすすめ度 | ★★★ |
実用的なハンディ インプットデバイスを求めるなら オススメです。 お値段も安いですし、なんといってもマウスで出来ることは一通りできてしまう実用性を持っています。 でもそこに「トラックボール」も求めるならば、本機はオススメしにくいものがあります。 |