マウス個別面談

ELECOM M-MAPP1KH M-MAPP1KHBK

Microsoft Mice Explorer
メーカー エレコム/TD>
ボタン数 3ボタン
ホイール 1ホイール
エンコーダー イメージエンコーダ
トラッキング解像度 800dpi
コネクタ USB PS/2

握れないマウス

マウスレビューにて「握りやすい」「フィットする」とか 「握りにくい」とか「いまいち一体感がない」とか、そういう風に 評価することって多いです。 マウスの評価のなかで高いウェイトをしめるのが そのホールド感ですから、 握りやすい・握りにくいというのは 重要なポイントになってくるのは当たり前。 そのためのエルゴですからっ!

でも、握りにくいを通り越して 握ることが不可能なマウスは、 いったいどう評価したらよいのでしょうか・・・。

カトキメカカトキメカカトキメカ

ELECOMの M.A.P.P.シリーズは、 日本のメカニカルデザイナーにマウスデザインをお願いするという 斬新な企画で始まりました。 そんな企画の第一弾で、そして最初で最後になってしまったのが 本機 M-MAPP1KHこと「カトキマウス」と、 M-MAPP1SMこと「士朗マウス」です。

結果できあがったのは、その企画の名に恥じない 近未来的な――なんとも使いにくそうな見た目のマウスです。 猫も初めてデザインを目にしたときは 「うーん、、これはオブジェかしら」と思ったモノです。 しかし、しばらくすると意外にも士朗マウスが使いやすいという声が 聞こえてくるようになりました。 折しもこのころは Elecomがgrastシリーズで ヒットを出し、そのできの良さにブランドイメージを急激に上昇させた頃でした。

ELECOMだし士朗マウスは使いやすいと言うし、 これはカトキマウスもひょっとしたらひょっとするかも・・・、 と、おっかなびっくり期待をしつつ手を出したカトキマウスでしたが、 やっぱり見た目通り握りどころがどこにもないよぉ〜〜(TT)

寄り添わないというやさしさ

そんなこんなで、正に見た目通りの握り心地のカトキマウスですが、 なのに猫は本機を高く評価しています。 それは「握れないデザイン」が、マウスの性能として 価値を持つことに気が付かされたからです。

猫が思うに、手の曲線に合わせたマウスって、手と面で接するから、握りごこちがよくって その結果ついつい力が(というより体重が)かかってしまうのではないでしょうか? そうすると肩や手首に負担がかかって、腱鞘炎や肩こりになってしまうのでしょう。(乱暴な推論ですが)

ところが本機の場合はボディは力を掛けられるポイントがありません。 ボタンが円筒状しているので、手のひらをくっつけることが出来ないですし、 左右幅が狭いので親指・小指の付け根でマウスのお尻をグリップすることも出来ません。 どう頑張ってもマウスと手が点、もしくは線でしか触れられないのです。 それどころかクリックですら ちょっと重さを掛けすぎればボタンを軸に本体が前転してしまう・・うーん。

本機の操作のコツは「無駄な力を抜くこと」。 というか、力を抜かないと動かせないから、必然と 「マウス操作に最低限の力」で操作することが身に付きます。 力を抜いて作業することを強要するので 結果的にカトキマウスってとっても疲れにくいマウスなんです。

800dpiのトラッキング解像度のピュンピュン動いてしまうカーソルも 省エネ操鼠を促進します。

媚びないノスタルジア

「結果的に体に優しい」のも隠れた魅力なのですが、 本機の操作感ってそれだけではなくて この角張った手に寄り添わない感じが 「気持ちよい」と感じる時があります。 たばこの箱のようなカトキマウスですが、この角が 猫の手に心地よい。これって、あ・・・、昔のカメラを握ったときと一緒です。

最近のカメラはエルゴノミクス全盛でグンニャリとした「手に合わせた曲線」で 出来ています。でも昔のカメラは金属の箱そのもの。 だから最近のカメラの長時間撮影していても疲れにくいと思われがちですが、 実際はそうではない――という記事を読んだことがあります。

昔のカメラの直線主体な幾何学形状は「握り方が定まらない」ので 長時間撮影でもすこしずつ「手の形」を変えていって結果疲れにくくなるそうです。 また「角」の刺激というのは手に刺激を与え続けるため、 この刺激が疲れをいやす効果もある―― 結論としては、 手は、手とフィットする曲線よりも、フィットしないものを使うのに長けている、 そんなお話でした。

科学的のどうこうという話ではなかったと記憶していますが、 猫も確かにそうだわねぇ、と思うときがあります。 猫は角張ったカメラのほうが疲れにくい、というかエルゴなカメラだと ずっと使っていると手が固まってしまうような、 空気椅子をずっとした後のようなそんな疲れを感じます。

そして、カトキマウスを使っていると 肩こりや手の痛みが軽減されたのも事実です。 実は猫はずっとFirst Mouse+ 一筋だったのですが、 初めてメインのマウスを譲ったのがこのカトキマウスだったのです。 だって仕事終わった後が楽なんだもの・・。

そして、疲れた手に角がとっても気持ちいいんです。 はふ〜・・。極楽だわ、コレ。

視点を変えてみよう

現在のマウスの常識から考えると、 本機はとても使いにくいマウスに見えます。実際第一印象も「うあ、見た目通りの使いにくさ」と思います。 でも使い込んでみるとかなり実用的なマウスであることに気が付きます。

使っているうちにカトキマウスが変わったわけではかくて、 あたしたちの視点が変わったのです。

右へならえのマウス業界ですが、 もちろん正解は一つじゃないです。 商売が絡むと売れる物の右へならえせざる得ないのは 仕方がないのですが、「カトキハジメがデザインしました」という付加価値が、 現在の殆どのマウスとは別の方向の「解答」を製品化することを可能にしました。

騙されたと思って、カトキマウス、試してみませんか?

各部の詳細

表 なるほどカトキさんしている上面です。 直線と円柱を主体に組み立て上げられながらも、 微妙な曲線を帯びている姿はで残として綺麗です。

ちなみにボディカラーには、黒の他に白とシルバーがありますが、 ラバー塗装(ピーチスキン)は黒モデルだけです。
後ろ 手前側
C面(角が斜めに落とされている面)があるのがカトキさんぽくて格好いいです。 意外に本体がカーブを描いているのが解ります。

この角の感触が疲れた手に貯まらなく気持ちよいんですよ。 痛すぎず、無感すぎず適度な塩梅が凄いわぁ。
右側面 高く突出した円筒上のクリックボタンが、 本体に上面に手が置かれるのを拒絶します。 また、円筒の下が設置していないため 強い力でクリックしすぎるとマウスが前転してしまうのです。

一応マウスの前の方に下が段落ちになっているので 底に指をかけると楽に持ち上がります。(しかし、常にグリップしているほどのゆとりは有りません)
前 ホイールと併せて一体に見えるボタンです。

細かいことですが、マウスケーブルが若干上から出ているので、 マウスを動かすときにケーブルがずる抵抗を大きく軽減してくれます。
裏 円筒しているボタンってどうやって押されるの?と言う疑問が一発で氷解する裏面です。

裏もキッチリデザインされていますね。さすがデザイナーズブランド。
ラベル ラベルです。

M.A.P.P.プロジェクトの産物である本機の型番は以下のように読むと思われます。
M- :マウス?
MAPP :M.A.P.P.プロジェクト
1 : (カトキさんの)1台目?
KH : カトキハジメ
BK : 黒

摺動板 摺動板です。ドーナッツ上のこの形も 指定によるものだそうですが、ナカナカ良いあんばいなのです。
ホイールとボタン 付録の小冊子によるとホイールにELECOMのロゴを入れるのが難しかったとか。

ボタンとホイールの感触は grastシリーズ とだいたい同じで、 マイクロスイッチのクリック感、ホイールの静かなノッチクリックのスクロールと、 ストレスを感じさせない品質です。
大きさ比較 大きさ比較。 もはやモバイルマウスと言っていいほどの小型さです。
グラビア その見た目や第一印象と異なり、意外な使いやすさと気持ちよさがある本機です。 ・・なぁんて主張は本文でさんざんやったのでココでは別の視点で。

カトキマウスのデザインの再現度というのは凄いです。 予備知識無くコレをパッとみても「あ、カトキだっ」と解るクオリティを持っているって 凄いことだと思うのです。
デザインを実際のモノに落とし込むのは難しくて、 (例えばMicrosoftのとかは悲惨です) そういう意味ではバンダイでもなんでもないELECOMさんなのに すごいわぁ、とおもいます。(もちろんMGで培ったカトキ先生の指示慣れというのも 有ると思います。)

オブジェとしての完成度も高く、クセは強いけれど実用性もあるのに ずいぶん不遇な扱いだと猫は思ってしまいます。

<総合評価>

握りの気持ちよさ いわゆる握り心地の気持ちよさ(≒フィット感)は有りませんが、疲れたときに角の刺激が心地よいと感じることはあります。
カーソルの滑らかさ 今時の光学式らしく良く追従します。でもちょっと早すぎ・・。
本体の質感 ピシッとした整形具合と部材の操作感はなかなかのモノです。
操作の疲れにくさ よけいな力を掛けて操作することが不可能なので本当に疲れにくいです。
コストパフォーマンス 発売時のお値段ではちょっと悪いかしら・・。
三猫のおすすめ度 ★★★
万人にお勧めできるわけでないので★三つ。アクはとても強いです。 ただ、慣れた暁には今までのマウスとまったく違う「良さ」を味わえるので Let's Challangeして欲しいな、とか個人的には思ってますです。