トラックボール個別面談

Kensington Expert Mouse (Expert Mouse 7 :Model 64325)

Kensington Expert Mouse 5
メーカー Kensington
ボタン数 4ボタン
ホイール スクロールリング
エンコーダー 光学式
ボール支持 人工ルビー(合成コランダム)小球による3点支持
ボール径 55mm
コネクタ PS/2・USB

気になるアイツ

なんだかずいぶんトラックボールがいっぱい部屋に転がるようになってきた三猫です。 それぞれ魅力的なトラックボール達ですが、 そんな中でも「特別」なのがKensington Expert Mouse 5です。

Expert Mouse 5 は デザインの美しさと操作感の美しさを併せ持つ 奇跡のようなトラックボールです。 スペックシートに出てくる機能ではなく「バランス」と「感触」に惚れているので 仮に機能的に古くなろうとも その魅力はみじんも色あせることはありません。

そんな風に思っている猫でも 「ポスト Expert Mouse 5」として期待してしまうトラックボールがあります。 それが、今回ご紹介する Kensington曰く「究極のトラックボール」こと Expert Mouse 7です。

期待と不安

Expert Mouse 7 の売りは二つ。エンコーダの光学化とスクロールリングの搭載です。

LogitechやMicrosoftなど、今ではすっかり当たり前になった光学式トラックボールですが、 Kensingtonは この第一世代の光学化の波に乗らず ずっと機械式エンコーダ一筋でした。 その永の沈黙を打ち破り、本機とOrbit Opticalでめでたく 光学式トラックボールメーカの仲間入りを果たしました。

スクロールリングは、Kensingtonオリジナルのスクロールデバイスで、 ボール周囲に設けられたリングでスクロールを行うというモノ。 ぐるぐる回す操作性の良さもさることながら、 いまいち馴染まないホイールと違いトラックボールとよく馴染むことも魅力です。

この二つの追加要素は魅力的ですが、 反面若干小さくなったボール径や、 ベアリングローラからルビー点支持に変わってしまったボール支持が、 あの悦楽の繰球感にどれだけ変貌をもたらすかという 不安も大きく、 旧来のExpert Mouseユーザには 気になるけれど手を出すのも怖い・・・というのが正直なところ。

猫もおっかなびっくりでなかなか手が出せなかったのですが、 使ってみなければいつまでも解らないわ、と 勢いに任せて えい、やっ、と購入致しました。

新しい繰球感

本機は、外観こそ「最近のラインでリファインした Expert Mouse 5」ですが、 その中身は別物です。 「意匠のみを引き継いだ」といっても過言ではなく、 同じ所を見つけることが難しいくらい、本当にいろんな所が変わっています。

そんな中でも触ってみて一番「変わったのね〜」と思うのは やっぱり繰球感です。

大胆にもベアリング支持による悦楽的ゴロゴロ感を捨てた本機ですが、 替わりに採用したのは他社製トラックボールでも評判な 人工ルビーの点支持によるノイズレスでスーッと滑るような艶やかな繰球感です。

まず、驚かされたのはボールの回転の異様なまでの軽さ。 光学 & ルビー支持に変わったため軽くはなるだろうとは想像していたのですが、 これは予想を上回る軽快さ。このサイズのボールがチョンと押すだけで嘘のように回ります。

動かしはじめは大玉に見合わない軽さなのに、 それでいて大玉特有の慣性は健在なので いざ回り始めるとその回る勢いは大玉にふさわしかったりする何とも不思議な感触があります。

よく滑る氷の上をソールの磨り減ったゴム靴で歩くかのようで、 最初こそ「回しづらいよぉ〜」と思うものの、 思い通りに操れるようになってくるととても楽ちん。
動かそうとするとほんの少しの力でツーッ動くくせに、止めようとするとピタッととまる。 マグネット・コーティングとはこういうものかっ!? と、ついつい意味もなく ツーッ、ツーッとカーソルを走らせてしまいます。 こ、これは楽しいわぁ。

もちろん光学センサも抜群で、ボールを勢いよく滑走させても 完全に追従します。 支持構造がエンコーダの都合に左右されなくなったために、 Expert Mouse 5のように回す方向や力の掛け方でボールが跳ねることもなくなり、 総じて安定感がグンとアップした印象です。 やはり「シンプルは力なり」です。

――実は、正直なところ、猫は多少不安定でもExpert Mouse 5の ゴロゴロとしたベアリング由来の「回してるぞ」な感触のほうが好みです。 でも、本機のウルトラノイズレスでなめやかな繰球感もなかなか結構魅力的で、 これはこれでいいじゃないっ、というのが猫の素直な実感です。

実際ここまで繰球感が別物だと、もう比較の対象じゃないですので、これはもう「別腹」。 どちらも美味しく頂けます。

便利だけど未完成なスクロールリング

本機のもう一つの売りが「スクロールリング」です。

普段から「トラックボールならスクロールホイールはなくても ボールでスクロールできるから問題ないわ」と公言してやまない猫ですが、 ボールカップの外周に配置したリングでスクロールを行うこの機構は、 ボールに添えた手のポディションを変えることなくスクロールが出来るので 使ってみるとやっぱり便利でとても楽ちん。 特に大玉とのマッチングは想像以上に快適で、 本機を使うようになってから猫は Expert Mouse 5を使うときも ついついボール受けの縁を指でなぞってしまいます。(^^;) 便利さって罪よね〜。

この便利さは是非とも一度体験してほしいところ。 トラックボール人生が大きく変わること請け合いです。 もうこれは20世紀最後の偉大な発明といっても過言じゃありません。

ただ、アイデア的には本当に素晴らしいスクロールリングなんですが、 本機のものはまだ実装方法がこなれていない印象を受けます。 決して素材や造りに手を抜いている訳ではないのですが、 その感触は Expert Mouse にはちょっと見合わないチープさで、気持ちよさに欠けます。

Kensington自身もこのスクロールリングについては試行錯誤の様で、 トラックボールファンの記事の 初期ロットと 猫の手元のものとを比べると、なんだかいろいろ変わっていますし、 変わっているにも関わらずやっぱり操作感はいまいちです。

実は 本機のスクロールリングは下の部分が金属の穴あきリングになっていて、 それを磁石で引きつけて 穴のあるなしの磁力の差でクリック感を演出する構造になっています。 とても面白いアイデアなのですが、その磁力のせいでリングが片輪走行になってしまうのが 諸悪の根元みたいです。(ロットによる差異は この問題への対処の痕跡です。)

そんなわけで、本機のスクロールリングはとても便利だけれど未完成といって良い状態、 未来のExpert Mouse 8でぜひ完成させて欲しいところです。

ボールのポディション

Expert Mouse 7は光学式トラックボールです。 光学式トラックボールはボールと「仮想床面」との接点あたりを光学式センサで見ることによって ボールの動きを検出します。だから、ボールが転がる「仮想床」とホントの床とが平行ちかい場合、 ボールと床の間にセンサを入れるすきまをもたせなければなりません。

グンニャリエルゴなトラックボールでは、「仮想床」を左右に傾けてセンサのクリアランスを確保するのですが、 Expert Mouse のデザインではそれは許されません。 なので、ボールを小径化をしたり、 筐体の前後傾斜を大きくしたり、実際にボールの高さを高くしたりでクリアランスを確保するしかありません。 実はExpert Mouse デザインに今の光学エンコーダの仕組みは向いてないんです。

ただ、そういったマイナスファクターに対しキチンと埋め合わせをするのが Kensingtonの凄いところ。ボールの小径化はスクロールリングの採用で 納得のいくスペック・ダウンにしてしまいましたし、 傾斜や高さが増したことは、パームレストを標準添付することで解決しています。

特にこのパームレストはできが良く、 ボールの高さを下げられないなら床の方を上げてしまえという発想の 単に10cm角1cm厚のウレタンパッドにすぎないハズなのに その使い心地はご機嫌です。

さすがは専用パームレスト、 パームレスト無しやサードメーカ製のパームレストに比べるとその使い心地の差は歴然です。 Expert Mouse 7の使用感はこのパームレストをつけて初めて完成するといっても過言ではありません。 デザイン的には猫はパールレストをつけない方が美しいと思うのですが、 このトレードオフは悩む価値があります。

ただ、手首と指先の関係はパームレストで解消されるものの、 物理的な高さが減じられるわけではないので、肘や肩との高さ関係は 改善されません。その点については「しょうがない」のでしょうね。

Expert Mouse の代替わり

3ヶ月以上も本機を使い込んだ今でも、 猫はそこに見えるのは確かにExpert Mouse なのに触ってみると Expert Mouseじゃない、 そんな不思議な感覚を覚えます。

購入当初、繰球感や手のポディションといった大きな所から ボタンの倒し込みの向きから筐体の質感といった小さな所まで あらゆる所に感じる違和感に 「今の技術でリファインされたExpert Mouse」 を期待していた猫は打ちのめされてしまいました。

結局の所本機は、「Expert Mouse の形」以外はなにも受け継いでいません。 たった一つ受け継いだ「Expert Mouse の形」に新たな技術のみを注ぎ込み、 製品の体をなしたのがExpert Mouse 7です。

旧来のExpert Mouseのファンである猫は、 Expert Mouseの代名詞である ステンレス・ベアリングローラによる 官能的のゴロゴロ感まで捨て去ってしまった姿に、 「Expert Mouse」というアイデンティティを見いだすことが出来ません。

ただ、そういうしがらみを排除した 「次世代のExpert Mouse」のビジョンを見せてくれるのも本機です。

なにもかも新しく、中には実装がこなれていない感を受ける部分もあります。 製品全体のバランスもまだまだ未熟です。 ですが、Kensingtonが唱う「究極のトラックボール」の文句は決してハッタリではありません。 「究極のトラックボール」としてはまだまだ及第点の本機ですが、 これは確かに究極への第一歩だわ、と思ってしまう自分がいます。 言うならば「究極のトラックボール」のベータ版、ってとこかしら。

たしかに「後継機としてそれでいいのか」とは思います。 でもExpert Mouse 7には「これはこれで素敵なのよね」と思わせるものがあるのも事実です。 あれだけの完成度の先代なのに「継がないこともアリかしら」と思ってしまう。これはそんなトラックボールです。

各部の詳細

表 写真レビューを開始する前に一つ言い訳をば。

本機は黒を基調としたグロス仕上げで、 非常に良く写り込みをします。 だから背景の水色を良く拾ってしまって、それを修正すると赤っぽくなってしまって・・。

というわけで、いつも以上に色が当てにならないです。ごめんなさい。

さて、上面デザインですが、 Expert Mouse 5の意匠を引き継ぎながらもあか抜けた印象を受けるデザインです。 メタリック塗装前提のデザインで、それを前提としたパーツ分けが如何にも「今風」ですが、 それ以上になぜだか「王者の風格」のようなものを感じさせます。
手前 手前から。

座布団の上にふくらみが乗っているデザインからボタンの折れ線を中心に 筐体全体が斜めに下がっているデザインになりました。
左側面 横からのながめです。優雅な曲線を描いてます。

デザインでなるべく高さを感じさせないようにしているのが解ります。 また、ボールと底面の間に結構ゆとりがありそうです。
前 後ろ側です。

そういえば 盗難防止のロック穴がは廃止されたみたいです。
裏 そして下面。 とってもシンプルです。

こうしてみると、意外にグンニャリした形状ですね。
上面 後ろ面 右側面 前面 Expert Mouse 5と比べてみました。

上から見ると、ボディ単体でもExpert Mouse 5よりも一回り大きいのですね。 あまり大きくなった印象を受けないのはデザイン処理のたまものでしょう

手前からみるとExpert Mouse 5が座布団の上にボールが鎮座している印象なのにくらべ 本機はボールを裏からギュッと絞り出したかのような形状です。

まったくラインが違うのがサイドビューで、こうしてみるとだいぶ傾斜がきつくなったのが解ります。 この傾斜きつさをなるべく目立たないように、また また、ボール高もExpert Mouse 5よりも高いのですが この高さを意識させないようにしようという苦労の後がみてとれます。

ケーブル側から見ると、ボールの高さの差が一目瞭然です。

光学化するにあたってどうしても取らねばならないボールと床の間のセンサのクリアランスを確保するため、 本機はのボールの小径化や筐体の傾斜・高さの増大を行っています。
普通に考えれば割に合わないスペックダウンですが、その埋め合わせを、 スクロールリングの搭載やパームレストの標準添付でしています。 本機が「光学式になったからダメになった」とは評されることがないのは、 ひとえに設計の見事さゆえです。
ラベル ラベルです。

「K64325」が本機のモデルナンバーですが、 「K」って「クロ」の「K」と思ってしまう猫は日本人です、ハイ。

Expert Mouseの伝統で、 Expert Mouse 64325とも呼ばれます。
電池室蓋になるもの 如何にも電池蓋のようなモールドが施されている底面ですが、 もちろん本機ではモールドだけです。(金型の都合よね)

実際本機のワイヤレス版ではここに単二電池が入るそうな。
パームレスト接続部 この取って付けたかのよなそっけない穴が パームレストの接続部です。

あまりの素っ気なさに、造ってみてはじめて「この傾斜はヤバい」と 急遽パームレストを企画したのではとうがった手見てしまいたくなるような、 そんな穴です(笑)。
パームレスト 話題のパームレストです。

表は人工革が貼られていますが、裏はウレタンむき出しなので 写真で見るほど高級感はありません。が、手触りも良くって なにより使いやすいパームレストです。
パームレスト側のコネクタ コチラがパームレスト側のコネクタ。

実はこのコネクタ、一度填めると外すのが結構大変で、 乱暴に外すとピンが周辺から割れてしまいます。・・ええ猫はやってしまいました(TT)
パームレスト付き パームレストを装着したところです。

それなりの一体感はありますし、格好良い部類にはいるとは思うのですが、 残念ながらパームレストが付いてないときの「オブジェとしての美しさ」は感じられません。
パームレスト付き 上 パームレスト付き 手前 パームレスト付き 横 パームレスト付きで三面から。

俯瞰写真をみてのとおり、巨大巨大といわれるあの Expert Mouse Pro を上回る巨大さ、 はっきりいって狭い机じゃ邪魔です。(TT)
中央の出っ張りはボタンの折れ線とつながる意図のラインだとわかりますが、 パームレストと本体の隙間が大きいせいで、いまいちです

横から見るとぴったりとカーブに一致する出もなくそれなりに合わせているだけなのが わかります。ここら辺の「適当」さが許せてしまうのが 猫の感覚的にはちょっと不自然ですが、 そこはお国柄というとこかしら。

基本的に床を純粋に底上げしているだけのパームレストで、 このデザインにもExpert Mouse 的なぐんにゃりエルゴはつかわないぞ、な思想が感じられますし、 このパームレストの使いやすさがそれの正しさを証明している、なぁんて思います。
Kengingtonロゴ 非常に具合の良いパームレストが覆い隠してしまう Kensingtonロゴ。

このロゴを見れなくなってしまうことがパームレストの最大のデメリットです。
ボタン Expert Mouse 5譲りの 山折り線つきのボタンです。この折れ線がグリップとなっていて、 ボタンをとても押しやすくしています。 (指を線の内側に掛けるか、外側に掛けるかが自由なのも素敵です。)

だた、見ての通り本機はボタンまでツルツルのグロス仕上げなのですが、 これは手が滑って使いにくいです。
ボタン押し込まない ボタン押し込む 実は意外な変更点なのですが、ボタンの支点が筐体外側に移ったため、 押し込み向きが変わりました。

今まで外側(下ボタン)や上側(上ボタン)に押しひらく方向に倒れていたのが、 内側に倒れ込むようになったため、Expert Mouse 5に慣れた猫はちょっと違和感を感じます。 これは操作感の改良のために変更したのではなく、あくまで内部構造の都合によるものの様子。

また些細なことですがストロークが若干深くなったため(特に上ボタン)、 ボタンの押し心地も微妙にちがいます。
ボールを外す ボールを外すと三つのルビー支持球と光学センサが顔を覗かせます。

若干センサがオフセットしているように見えますが、これは支持球は重力方向(つまりホントの床)に対して 均等に配置されているのに対し、 センサは前後方向に傾けられた仮想床に対して配置されているからで、 センサの位置は特性上とても理想的なところに配置されてます。
支持球とエンコーダ 光学センサと支持球のアップです。

光学センサはMSなどと同じ蓋のないタイプですが、 ここからどんどんゴミが落っこちてしまいそうで、 Logitechのように蓋付きにしてくれないかしら、と思ってしまいます。
支持球 いかにもルビーという色合いの支持球です。ルビーを固定している周辺の構造がすり鉢状になっていて、 ちょっとだけゴミがたまりやすいのが難点。
隠しネジ さて、外観解説だけでだいぶかかってしまいましたが、 いよいよトラックボール個別面談の醍醐味、分解開始です。

本機のネジ穴は4つのゴム足の裏にあります。
筐体オープン ご開帳〜♪

筐体上側はたんなる蓋ですね。
内部 「筐体上側なんて飾りです」と言わんばかりの構造です。Expert Mouse 5では、 ボタンを固定してたり、ボールのカップを構成してたりした上蓋も 今回は完全なお飾りです。

内部メカっぽくてこれはこれで好きですが、 さすがに新機構満載の本機、構造的にはまだまだ洗練されていない印象を受けます。
ボタン部分 ボタンは見ての通り筐体外側に足を立てて固定されてます。

なるべく中央部にスペースを確保しようといった印象を受けるのですが これはやはりスクロールリングと ワイヤレス版での電池のクリアランスを確保するためでしょうか。
ボタンパーツ 表 ボタンの部品です。

上下のボタンで一つのパーツになっていて
ボタンパーツ 裏 こちらは裏側。

スイッチを押す足が結構長いです。
ボタンを外す ボタンを外すと急にすっきりします。

ボタンの下 ボタンの下側はこうなっています

意外にスクロールリングが大きな体積を取っていることが解ります。
右側のボタンは、ボタンだけの基板でこれだけ紙フェノール基板です。
マイクロスイッチ マイクロスイッチはおなじみの 高級機御用達オムロン D2Fです。
スクロールリングのクリック機構 スクロールリング下の穴あきリングは金属製で、 穴の所とそうでないところの磁力の差で回転のクリック感を生み出しています。

また、この穴は回転検知にも使われていて、写真では白飛びしちゃってますが、 置くに見えるセンサで遮光を検出しています。
磁石 クリックを演出する磁石です。

アイデア的には面白い機構ですが、この磁石がくせ者で、 スクロールリング自体を惹きつけてしまうのでリングが片輪走行になってしまい 回転の感触を悪くしています。

これは結構鬼子だったようで、Trackball Fanさんの記事によると 初期ロットではこの磁石は わざわざ取り除かれているようです。
ボール受け スクロールリングと一体化されたボール受けです。

縁付きカップの縁を上側リングと下の穴あきリングで挟み込んで固定する構造です。

実はこの状態だと磁石の影響を受けないのでリングの感触は結構良い感じなのです。
ボール受け裏 ボール受けユニットを裏から。

光学センサの取り付け位置はこんな感じ。
このユニットは金属リングと上面のプラリングをピン溶着しているため、破壊しないとこれ以上分解出来ません。
スクロールリングのチップ リングの裏から垣間見れる白いチップはおそらく摺動グレード樹脂か、 はたまた摺動セラミックかの摺動特製に優れたものです。
実はこちらの露出面がリングと接触するのではなく、突き抜けた反対側に頭が出ていて、 そちらがリングとの接点になる様子です。

ちなみにチップの右側に見える黒いボテっとした固まりは、 穴あきリングとスクロールリング上側を溶着しているピンです。
すれてな〜い Trackball Fanさんの記事では、ボタンの間の梁が リングとすれて「シュルシュル」とした悪感を生み出していた様ですが、 猫の入手したロッドではこの点は改善されている様で、まったくすれていません。
駄目なチップ オザナリ接着で、接着剤が尾を引いてしまっている駄目な接着です。

本来こちら側はリングと摺る方ではないのですが、 クリック磁石がリングを手前下に惹きつけるためウィリー状態なっているため、 実はこちらも摺っていまいます。

そのときこのような「オザナリ接着」があると、感触が悪化するみたいです。
チップ数 見にくいですが、白い滑動チップが5箇所あります。

初期ロットでは3箇所だったそうですが、リングのウィリー問題に姑息的対処で 5箇所に増やされ、それに伴い設計通り「磁石」が取り付けられるようになったみたいです。 が、所詮姑息的対処で、リングの感触を見る限り焼け石に水の感は否めません。
ボール受けを外す ボール受けを外します

いままでのExpert Mouseは巨大な一枚板基板を配していたのですが、 本機はなるべく基板面積を小さくしようという意図が感じられます。

奥側にはかなりの空きスペースが確保してあり、 ワイヤレス版ではここが電池スペースになると思われます。
光学センサ 光学センサです。基板の傾きは筐体上面の傾斜とほぼ一致します。

ちなみに基板上のレンズ兼プリズムはただ乗っかっているだけです。
センサ基板 センサ基板です。裏(というか、コッチが表ですね)はこんな感じ。

ボール表面 ボール表面はこんな感じに荒いメタリック塗装の粒子が見えます。

これをセンサが拾っているわけですが、赤字にポツポツの印刷が無くても、 小さな動きも、ガーッという速い動きも とても良く拾ってくれます。光学式とデザインの両立って出来るのね、と感心しきりです。
基板一式 本機の全基板です。

メインボードとセンサボードがガラスエポキシ基板で、右側スイッチボードだけが 紙フェノール基板です。なんだか微妙な節約術です。
コントローラチップ コントローラ・チップです。
色分け 色分けの部分は別形成になっていて、爪でひっかがっているだけなので 裏から爪を外してあげれば簡単にはずれます。

塗装派には嬉しい配慮です。
大きさ比較 大きさの比較です。

パームレストがついていなくても MS InteliMouseと比べるとかなり大きいです。
ボールの大きさ ボールとDreamcastのVisualMemoryとの比較です。

こうしてみると充分大きいのですが・・、
ボールの大きさ(Expert Mouse 5 と比較) Expert Mouse 5のボールと比較するとやっぱり小さいです。
本機のボールが55mm、5のボールが57〜57.5mmですから、直径にして2mmちょいちがいます。
ボールの支持機構がまるで違うのでアテになりませんですが、 でも猫はこの違いを体感したことはありません。
グラビア 真に世代交代と言って良い本機です。

まだ、先代よりも完成度が劣るのだけれど、 本機には若さがあります。 そして現時点で若さを言い訳にしなくてよいくらいの 完成度も備えています。

ベアリングローラの感触の復活は願うけれど、 それはExpert Mouse 5の実装に戻せという気持ちではなく、 新Expert Mouse ならではのベアリング ローラを見てみたいという期待です。

はてさて、Expert Mouse 8 は一体いつになるかしら。楽しみです。

<総合評価>

繰球の気持ちよさ 軽い摩擦と大きな慣性、ウルトラノイズレスな繰球感が気持ちよいです。
回り出しの滑らかさ 馴染むまでは光学式点支持特有の「カクン感」があります。
回転中の滑らかさ 回転中も非常に滑らかで軽いっ! ボールが慣性でいつまでも回っていそうな感覚です。
ドラッグのしやすさ ボールの操作に手全体を使うため、ちょっと難あり。
対腱鞘炎 パームレスト無しだと辛いかも。レスト付きで普通くらいでしょうか?
コストパフォーマンス 造り相応の高額プライスです。
三猫のおすすめ度 ★★★★☆
気持ちよく、実用的で、今でも5つ星をあげても良いかな、と思ったのですが、完成度が今一歩。届かない星半分は将来の後継機の為のマージンです。