マウス個別面談

Microsoft Wireless Optical Mouse 2.0A(OEM 2.0A)

Microsoft Mice Explorer
メーカー Microsoft
ボタン数 3ボタン
ホイール 1ホイール
エンコーダー 2軸ロータリーエンコーダ
トラッキング解像度 400dpi
コネクタ PS/2

コードネーム:マウス革命

久々に、マウスが大きく宣伝されるのを見ました。 インプットデバイスマニアの猫としてはナカナカ気分の良いことです。

Microsoftが満を持して発表した「ホイール革命」こと 「チルトホイール」&「スムーススクロール」は これを買えば生活が変わるという夢を見れる、 久方ぶりの大型新人です。 歴史の浅いPC業界、 ホイールマウスの登場がPCを大きく快適にしてくれた記憶を まだまだ人々は持っています。

だからこんども、と期待してしまうのは当然だわ。

チルトホイール

かなりの期待を持って迎えられたチルトホイールですが 残念ながら期待が空回りしてしまった感も否めません。 と、いうのもスクロールと言うにはスムースにスクロールできないことや チルトの搭載でセンタークリックが行いにくくなってしまっていたりと、 ネガティブな面が目立つからです。

とは言えこれは横ホイールイベントを想定してないOS側の問題や、 単にMSチルトホイールの実装上の欠点だったりするので 「ホイールを傾ける」という操作そのものの評価ではありません。 では、チルト機構というのはどんなモノかしら、という問いには、 本気で快適な左右スクロールを実現するにはスクロール速度を調整できない ただのボタンというのは辛いかしら、というのがあたしの答えです。

左右傾けでホイールによる十字メニューが実現出来るようになりました。 (SONYのケータイとおなじですね) OSでサポートされるなどして「スクロール」以外の活用が 簡単にできるようになるなら、面白くなりそうかしら。

スムーススクロール

チルトは正直想像してたほどの革新をもたらしてくれなかったわけですが、 (もうチルトホイールのないマウスに戻れないっ!・・・なぁんてことはありませんでした) 想像以上に快適だったのがスムーススクロール機能です。

ホイールはもともとは多目的電子ダイヤルとして マウスに付けられましたが、現実にはほぼスクロール用デバイスになっています。 ズーム機能などでは有ると便利な回転時のノッチ(カチカチ)も、 スクロールに使用するならもっとアナログでなめらかな感触のほうが適しています。

あまり知られていないですが、 トラックボールによるスクロールバードラッグでのスクロールは 非常に快適です。 なぜかというと、ボールの回転はアナログで、 天然の加速機能まで付いてくるから。 (もちろん同じところで回り続けるトラックボールには マウスのような長距離ドラッグの煩わしさが無いのも大きいです。) そんな「トラックボールでスクロール」の快適さを マウスホイールで実現しちゃったのが「スムーススクロール」です。

本機のホイールには回転時に発生するノッチがなく、 タイヤのように回ります。しかも回し始めはねっとりしてるのに 回している内にどんどん軽くなってスルスルになる不思議な感触です。

このホイールの物理的な特性の変化と合わせ、ソフト面も変化しました。 まずより細かいホイールイベントが発生するようになり、 またIntelliPointによる「ホイールの加速」も導入されました。

おかけでとても滑らかかつダイレクトなスクロール操作を実現したのですが、 これが本当に気持ちよいのです。 「カチカチホイールはスクロール操作に優しくないから、 気持ちよくなくなっても仕方ないわ」と 年々失われていくホイールの気持ちよさを 無理矢理納得させていた猫ですが、 あたらしい気持ちよさの形があるのねぇと嬉しくなってしまいました。

惜しむらくはこのホイールの「始めネットリ後スルスル」は 長持ちしなくて、使い込むとすぐ「いつでもスルスル」になってしまうことかしら。

80点のグリップ感

さて、勢いホイールばかりに目がいきましたが、 本体はどうでしょうか。

IntelliMouse Optical 以来伝統の「おしりがつぶれたボディ」からいっぺん かなりグラマラスなデザインになりました。 本機にはいわゆる「ネック付きデザイン」なんだか 見た目がとても握りやすそうです。 実際握ってみた感じも悪くないのですが、 ん〜、なにか一つ物足りない。

実はこれまでMicrosoftのマウスでネックデザインを採用したのは 無く、頭よりお尻が大きい「お尻ホールド型」が多かったです。 本機のおしりも上から見れば確かに大きくみえるのですが、 実は大部分はパームレスト。 マウスをグリップする部分は細いため、 コレまでのMicrosoftマウスのような手のひらグリップ では十分にホールドすることが出来ません。

なので、根本的に操作感がコレまでのMicrosoftマウスと違います。 お尻を手のひらで握りようにしてホールドできない本機は、 ネックにかけた指先で摘んであげるのが本機の正しい使い方。 MS的手のひらホールドが好きな向きにはチョット注意が必要です。

で、ネックデザインとしてみた場合の本機はどうだかというと、 基本的には良い線をいっているのだかれど ちょっと首から上が細いかなぁと思います。 実質前方の頭部分しか握れるところがないので マウスの大きさ・重さのわりには力からを加えられる部分が小さいのです。 それに指先ホールドのわりには重心がちょっと後ろすぎかしら。

多分に好みの問題だと思いますが、 それでも猫は手の下半分をマウス操作に有効に活用できない分 損だわ、と思ってしまいます。決して悪い感触じゃないのだけれど、チョット残念でもあります。

80点というのがしっくり来るかしら。

MS質感にニーズあり?

毎度マウスやトラックボールを評価するたびに 「最近のMicrosoftは質感がイマイチ」としてきた猫ですが、 このクラスまでこうだと、自分を疑ってしまうのです。 もしかしたら、猫の知らないところで タクトスイッチのほうがマイクロスイッチよりも 使いやすいとかとか言うことになっているのでしょうか?

と、言うのも、最近のMicrosoftマウスは 廉価高級問わず すべてタクトスイッチになってしまっているからです。 全体に高級感がなくなっているMSマウスです。 プラスチックのマージンが有りすぎるギシガシした感じに タクトスイッチの醸し出すパコパコとしたカラッポ感が合わさって 何とも言えないハーモニーを醸し出しています。 猫的にはどうも頂けないと思っています。

しかし、タクトスイッチ & 中身詰まっていない感のMSマウスでも 常に人気の上位を保っていることを考えるに、 こういう操作感が好きな人がいっぱい居るということなのでしょうか。 確かに カチッカチッというマイクロスイッチよりもタクトスイッチのタクタイルのほうが 確かにうるさくはないとは思うのです。 特に本機は中身が詰まっているので、MSの下のランクの マウスよりはクリックの高級感があるのは確かですし・・。 少なくとも、どのモデルも質感を統一しているのは事実です。

うーん、でもでも、あたしの感覚ではやっぱり「イマイチ」なのよねぇ・・。 実際の所、スイッチの種類なんてしらない普通の人にとっては この感触の違いはどういう風に捉えられているのでしょうか?

地味だけれどよい子

レビューを書いていると「ココもダメ」「あそこもダメ」と どんどん購入モチベーションの下がっていくマウスですが、 それでも猫は不思議と嫌いじゃありません。 すごい良いのよ、と興奮したりはしませんが、 使っていて不満がガンガン貯まるようなこともありません。 そつなくポインティング業務をこなしてるわねぇというのが正直な感想です。

もちろんスムーススクロールや、 本来は単三電池2本のところを1本駆動も可能である心遣いなど、 本機ならではのなかなか素敵なアピールポイントもあります。 無線だってようやく有線と遜色のない操作感になりました。 これでいてなかなかやる子なのです。

本機はあんまりレビューで映えるマウスではないのかもと思います。 使い始めたときの感動は正直あまりない子なのだけれど、 使い込んでいるうちに煩わしくなるようなこともないのは 本機の大きな美点です。良い仕事してますわ。

各部の詳細

表 本機登場以前のMSのリファレンススタイルは、 IntelliMouse Optical のおしりを万力でつぶしたようなデザインですが、 本機ではそれを一新します。

見た目はかなり格好よくて、握り心地も悪くはありません。 ただ、下の大きく広がっている部分は「パームレスト部」なので、 実のおしり部分が狭いです。手のひらでおしりをホールドする向きには あんまり動かしやすくは感じないかも。
後ろ ネックデザインです。 この手のデザインは本体の上のほうが主体、下の方がパームレストになる感じで、 直接手と床が擦れ合わないのがウリなのです。
ただ、親指の付け根と小指の付け根が触れる部分を「ネック」として よけさせてしまっているため前述の通り「手のひらでホールド・指先フリー」な 握り心地が好きな向きには、なんだかイマイチに感じる場合もあります。 親指、薬指の指先で首を摘むようにして動かすのが本機向きかも。
左側面 ネックのくぼみが見えるでしょうか、 後ろかわに丸いパームレスト部が付随しているのが解ります。
前 前からです。こちらもパームレストと本体の二部構成がよくわかる見た目になっています。

チルトホイールがかなり大きいので左右クリックボタンが 割を食ってしまってますね。
裏 マウス底面です。下に楕円のレストがついているのが一目瞭然、って あたしコレばっかだわ・・・。(笑)

イメージセンサは(マウスを上から見て)左に寄っています。 これが操作に影響するかは正直不明です。 優先マウスは光学式になってからは中身スカスカなのですが、 無線はスペース狭くて大変そうだわね〜、とうのが何となくわかる底面です。
上のラベル まずは上の方のラベルです。 Wireless Optical Mouse 2.0Aとあります。

Microsoftはマウスの名前を使い回すので、 本機はWireless Optical Mouse 1.0 とは全くの別物です。 MSはメジャーバージョン番号が変わったら名前しか引き継いでいないと 考えた方が良いかも。
下のラベル 次は下のラベルです。

こっちは規格やらなんやらのマークばかりで面白くないです。
チルトホイール 噂のチルトホイールです。本機登場当初は大きいのは仕方ないかな、と思ってましたが 他社製チルトが既存ホイールと大差ない大きさで実現されて居るのみると、やっぱり 何とかならないかしら、と思ってしまいます。

チルト機構自体は傾けるとスイッチが押されるだけなので正直「ホイールの左右に 横スクロールボタンを付けても同じじゃない」と思うのですが、スムーススクロールの方は スクロールの気持ちよさが既存ホイールと段違いです。IntelliPointのスクロールの加速機能と合わせると 正に無敵ですので、一度体感することをオススメします。
ワイヤレスレシーバ ワイヤレスレシーバです。これもマウスっぽいデザインです。 ホールド感もなかなかです。(レシーバなのにっ!)

こっちにもボタンとイメージセンサ付けてくれないかしら(笑)
レシーバのサイズ つまり、かなり大きいと言うことです。 マウス本体と比べても遜色のない大きさにはちょっとやり過ぎかなぁと思います。 (最近指紋認証とかがくっついてますね)

ただ、無線自体の性能は良くてクイックなレスポンスは有線と変わりなく感じるレベルまで 到達しました。本体も単三電池1本でも動くので 無線化によるストレス(マウスが重いとか、動かしはじめに反応しないとか)を感じず スムースに移行できるのはなかなか凄いことかもしれません。
大きさ比較 大きさ比較。ごくごく普通サイズです。

本機はかつてのIntelliMouseのになっていたポディションにいると思いますので、 こうして並べるとちょっと感慨深いです。 IntelliMouseはホイールの普及に多大な功績をのこしましたが、 本機のチルト & スムーススクロールはどうなりますか、この先が楽しみ。
グラビア 期待が大きかっただけに、「飛び抜けて良い」じゃない本機は 結構「なぁんだ、がっかり」呼ばわりされることが多いです。 ・・・あたしも今してますし(笑)

ただ、実はバランスの取れた良いマウスで、 常用しているとじわじわと本機に対する愛着が湧いてきます。 本機は単三電池2本で動くのですが、電池寿命は縮まるものの電池一本でも 動作するのです。ワイヤレスマウスは本体の重さが嫌っ!とか思ってる人には なかなかの魅力。・・・とか、そういうそつのない気配りが うい奴です。

<総合評価>

握りの気持ちよさ 手を添えるにはよいですが、握りどころがないかんじ。摘むマウスなのかしら。
カーソルの滑らかさ 無線特有の動かしはじめの鈍さは感じられません。有線モデルと違和感のない感じはさすが。 ただ、スチール机とか苦手なシーンはやっぱりあります。
本体の質感 けっして手を抜いてるわけではないのですが、IntelliMouse やLogitechのマウスと比べると 見劣りします。
操作の疲れにくさ 無線マウスは重いので疲れやすいのですが、電池1本モードがあるので、 気になるなら電池を一本抜けばOK。結構すごいウリだとおもいます。
コストパフォーマンス 長く使える良いマウスと懐に痛すぎない値段のバランスがとれた コストパフォーマンスの良いモデルです。
三猫のおすすめ度 ★★★★☆
結構オススメです。特筆すべきポイントが余り無く スター性を求めると中庸な実際からガックリくるかもしれませんが、 長く使い続けるとじわじわと良さの解る感じです。