メーカー | 不明 |
ボタン数 | 3ボタン |
ホイール | 無し |
エンコーダー | ゴム巻きシャフト式 |
ボール支持 | ベアリング・ローラによる3点支持 |
ボール径 | 51mm |
コネクタ | PS/2・USB |
一昔前には「バルク品」があふれていた格安マウス市場も、 今ではそのほとんどが「コピー品」になりました。 結局コピーでも本物でも同じように役に立てばよいという割り切り方もあるわけで、 秋葉原ではしっかり市民権を得ているMicrosoft風なぁんてマウス達。
でもでもマウスにはコピー品は五万とあれど、トラックボールのコピー品はあまり見ることがありません。 もともと利用者数の少ないトラックボールはコピーを作っても旨味がないから、無理がないといえます。 日本ではコピーはおろか本物までなかなか売っていないトラックボールですから。しくしく(TT)
しかし、探せばあるもので。
そんなこんなで、今回ご紹介するトラックボールは 黒に限りなく近いグレー(と、猫が思っている)「ノーブランド」な Libra-90です。
「Libra-90」は(ホントは) itron (旧Qtronix)の大玉トラックボールです。
Kensinton のExpert Mouseスタイルな本機は、51mm径の大玉と3ボタンを備えた itronのフラッグシップ機です。現在は終了してしまいましたがサンワサプライへOEM供給されていたので、 この形に見覚えのある方も多いと思います。
ちなみに「Libra」はitronのトラックボールブランドで、 他にも19mmボールを備えたパームレスト型のトラックボール Libra-35など、 非常に食指を誘うラインナップを持っているのですが、 日本ではなぜか販売ルートが無いらしく、どれも手に入らない様子。うう、なぜかしら(TT)
さて、今回レビューする本機は、あきばお〜さんが 「NB デカだまトラックボール Libra-90」として売っているモノで、51mmの大玉(実測)ながら お値段なんと税込み2,938円ととってもお得。 なのですが、NBと銘打っているだけのことはあり、パッケージの何処を見ても メーカ名が書いていない!?
本機のパッケージをitron Libra-90のオリジナル パッケージと比べると 同じデザインながら巧妙にメーカー名のみ消しています。 ・・・これはあやしい、怪しすぎます。
筐体の成型もちょっと精度が低そうで心許なく「如何にも偽物」ぽく感じるのですが、 風の噂によると どうもオリジナルもこうらしいです。
結局猫が本物を持っていれば比較のしようもあったのですが、 本機が「本物が諸事情で偽パッケージを纏った」のか、 「単なるコピー品」なのか、「流れた金型による本物な偽物」なのか、 さっぱり解りません。 ホントの所はどうなのでしょう?
そんなわけで怪しさ炸裂な本機です。
なのですが、あくまでコレはコレで評価すると、 一概に「安物」で切り捨てられないトラックボールで、 確かに安っぽい造りをしているモノのキラリと光るものもあり なかなか侮れません。
そんな本機の目玉は、やっぱり51mmの大玉ですが、 ただ大玉なだけでなく実はベアリングローラ支持だったりします。
このお値段でベアリングというのはスゴイことですが、 実はこのベアリングローラはあくまでボールを支持するだけ、 エンコーダは別で、ベアリングの他に さらにロータリエンコーダ用のゴム巻きシャフトがボールに接する構造です。
そのため、他の大玉 & ゴム巻きシャフト式エンコーダ機と同じように ゴムシャフトの摩擦の分、ボールの回転はとても重くなります。 同じベアリング式と言えどその繰球感は Expert Mouseのような「ウルトラスムースな繰球感」からは遙か遠いものです。
しかし、重いながらもベアリングローラの醸し出すゴロゴロとした気持ちよさは健在です。
点支持 & 大玉 & ゴム巻きシャフト のただ重いだけの 繰球感とことなり、重さに相殺されずに突き抜けてくる ベアリング支持特有の気持ち良い繰球感は、 結果として「重さ」を「辛い」と感じさせ難くします。 少々コストが高く着いても全体として好印象を受けるのですから、ここにベアリングローラを使うのは大正解ですね。
というわけで、非常に怪しいながらもちょっぴり魅力的な本機です。
筐体の安っぽさも否めません。 ボールの重さもあり、手放しには進められないのも確かなのです。 でも、「安かろう」と言えばそれなりの安さのある造りでもありますが、 決して「悪かろう」ではないのも本機です。
もちろん多くの人が夢見るような「廉価版Expert Mouse」の役割はとうてい背負いきれません。 ですが、これはこれで、なかなかのトラックボール。 「安さ」と引き替えにこれだけのモノが手にはいるのなら十分だと思えます。
実は本機、自分でもおすすめしたいのか 却下したいのか計りかねてます。 繰球感も気持ちよく、お得で実用的と思う反面で、 「でもメインで使うのは嫌だわ」と思ってしまうわけでして、評価が何とも分裂気味です。 (これは Exert Mouse とニッチェが近い故、どうしてもExpert Mouseと比べてしまうのが原因かもしれません)
あと一歩、押すモノがあればと思うのですが、う〜ん・・困ったモンです。
とりあえず、悩むんだったら一個買ってみるのも楽しかろう、そんなトラックボールです。 ただ、一体いつまで手にはいるか、それすら、まったく解らないのが寂しいところですが・・・。
上から。 Expert Mouseとおなじ大玉シンメトリなデザインですが しかし四角い座布団にたまご型の丘のあるデザインは個性的で面白いのですが、 バランスの問題か ちょっと間延びした印象を受けます。 |
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手前から。 パームレストを取り付けるレールを設けるために 床との間に隙間が設けられているのが解ります。 |
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左側面から。
けっこうきついSの字曲線を描いています。 たまご型の丘は実は結構な高さがあって、 そのせいで、本機を操作するときに「置く」というよりは 「握る」ような印象を受けます。 |
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奥から。こちらはさすがに殺風景です。 | |
背面です。 筐体を止めているネジは見えている4つのみで、分解好きにはありがたいところです。 下に見えるのがパームレストを接続するためのレールで、このレール分の高さを確保するため、 背の高いゴム足を使っています。 |
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ラベルです。 メーカ名はおろか製品名すら無いのですが、 いちおうFCC ID「F2Q4NE90TBNET」を FCC ID検索したところ Itron Libra-90のものでした。 |
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付属のパームレストはプラスチック一発成形のなんとも味気ないモノですが、 けっこう使いやすかったりします。(接続部のベロが折れちゃうんじゃないかと怖かったりもしますが) | |
というわけで、一体感のあるパームレストです。 こうしてみると、座布団部の曲線が綺麗ですね。 |
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せっかくなので、Expert Mouse 5と比較してみました。 本機の方がExpert Mouse 5よりも一回り大きいサイズですが、 これはなんだか無駄に大きい印象を受けます。 一見同じ系統のデザインに見える本機とExpert Mouse ですが、 Expert Mouse が「手を置く台」といったイメージに対し、 本機はたまご型ボディのトラックボールを座布団に沈めた感じといいましょうか、 手を置いた感じはまるで違う印象を受けます。 ボールの高さはだいたい同じくらいにしているようで、 実際ボールと筐体底面の間に結構隙間があります。 エンコーダとベアリング支持部は別ですし、これならこのままのデザインで光学化も出来ると思うのですが、 どうなんでしょうね? |
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パッケージに「Large button trackball」と銘打つぐらい
大変大きなボタンです。 筐体の安っぽさゆえパコパコした感じは否めないモノの、 それでもマイクロスイッチを使っていることもあり クリック感は悪くはありません。 ただ、大きく盛り上がったタマゴ面にボタンが設置してある関係上、 ボタン面も結構カーブしていて、そこはちょっと押し辛く感じます。 |
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センターボタンはデザイン上の良いアクセントになっているのですが、
ここを押すためには指をずらす必要があるのが難点です。
(手のひらで押すのも可能ですが、手のひらを大きくエビぞりさせる必要があります。) 個人的にはExpert Mouseのような配置の方が良いと思います。 |
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ボールを止めている蓋を反時計回りに90°回 転ささえるとボールが外れます。 ボール受けには、ボールを支えるベアリングロ ーラが3つと ボールの回転を検出するゴム巻き シャフトが顔を覗かせます。 |
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で、こちらがハズしたボールと蓋です。 | |
本機はボール支持はベアリングローラ、回転検出はこなれたゴム巻きシャフトのロータリエンコーダという
珍しい構成です。 一見ベアリングの良さをゴムシャフトが相殺してしまって意味がないように思えますが、 使ってみると回転が重いながらも確かに伝わるベアリング特有の繰球感は 気持ちよさを覚えます。 あなどれませんよ、この子。 |
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筐体を開けてみると、基板の小ささにビックリです。 なんだかステゴサウルスとかを連想させますが、 これだけ中身がコンパクトならもっとシェイプアップすればよいのにと、 こんなに大きな筐体にした意図を猫は理解しかねます。 |
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筐体裏側です。 ボタンの乗る丘が結構な高さがあるものですから、 ボタンを押す棒も結構な長さになっています。 あんまり長いと、感触よくないのよね。 |
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ボール受け部分です。 みてのとおり、雑な成型です。(TT) |
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筐体下側と基板です。 ボール部分のユニットと、マイクロスイッチ3つ、それにコントローラといったシンプルな構成です。 |
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ボール受けはエンコーダと支持ベアリングが一体化されたユニットになっています。 ベアリングをエンコーダに使えば、感触はよくなるし部品は減るしで 一見経済的な気がしますが、やっぱり そういう特殊な部品構成よりも、よく使われるエンコーダと 単につけただけのベアリングのほうが安上がりなのでしょうね。 |
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実際にボールが乗っかるとこんな感じです。 ベアリングローラはしっかりとボールをささえ、 ゴムシャフトはバネの力で軽くボールに当てられます。 それにしても、掃除が大変そうなシステムです。 |
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こちらがマイクロスイッチ。よく見るのだけれどメーカ不明です。 興味深いことに製造年月が2004年の1月になっています。 流通在庫じゃないのですね。 |
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コントローラ・チップです。 |
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普通PS/2 USB コンパチブルなものは、ケーブルにUSBコネクタがついていて、
USBをPS/2に変える変換アダプタがつくのですが、
本機のものは、PS/2が基本で USBへの変換アダプタがつく
珍しいものです。 |
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大きさの比較です。 やっぱり大きいですね、コレ。 |
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ボールとドリキャスのVMとの比較です。 なかなかの大玉です。 |
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VMとの比較じゃよくわからないので、いろんなボールと並べてみました。 左から、 Expert Mouse 5(57mm)、 本機(51mm)、 Trackball Explorer(46mm)、 WWT-5E(40mm)です。 |
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これが曰く付きのパッケージです。 一見ごくごく普通の製品パッケージに見えますが、よく見ると何処にもメーカ名が無いっ! |
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裏を見てものこ通り、メーカ名はおろか連絡先もありません。 | |
実はこの製品名のところにitronのロゴが来るのが本物です。
で、「Libra-90」はパッケージ下の「Large button trackball」の上に来ます。 うーん、上手いもんだわ・・・。 >>本物のパッケージ(830 KB) |
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安さにみあった安っぽさがあり、とりたてて「お得」と叫ぶモノではないのですが、
少なくとも悪かろうではないのよね、と思います。 これは一重に繰球感から感じることで、ゴム巻きシャフトという大きなハンデを背負いながらも、 やはり大玉 & ベアリングローラ支持のコンビは強かった、というとこかしら。 このハンデはエンコーダを光学式に換装れば解消されます。 せっかくカンタン(?)に最強繰球感を手にできるのですから、ここは「本家」itronさんには期待ですね。 |
繰球の気持ちよさ | ゴムシャフトエンコーダの重さは気になります。気になりますが、それでも気持ちいいです。 |
回り出しの滑らかさ | 滑らかだけど、とても重いです。 |
回転中の滑らかさ | 同じく滑らかだけど、とても重いです。 |
ドラッグのしやすさ | 若干しにくい気もしますが、それほどでもない気もします。(なんていいかげんな・・・) |
対腱鞘炎 | ボールの回転が重いので あまりよくないかも。 |
コストパフォーマンス | 値段相応の造りですが、この値段で繰球感ならとってもお得です。 |
三猫のおすすめ度 | ★★☆ |
確かに気持ち良い繰球感です。勢い★四つくらい付けたくなってしまうのですが、 この回転の重さは気になります。猫も少々評価が分裂気味なので、 とりあえず「掃除の大変さで★1個マイナス」ということで丸く収めようかと。 |