トラックボール個別面談

Logitech Marble Mouse 漆 (ST-45UPi Japan)

Logitech ST-65UPi
メーカー Logitech 製をベースに漆塗装
(津軽サイバーメディア)
ボタン数 4ボタン
ホイール 無し
エンコーダー 光学式
ボール支持 アルミナセラミック球による3点支持
ボール径 40mm
コネクタ PS/2・USB

ネタが無かったわけではないのですよ?

皆様、ご無沙汰ぶりです、三猫です。エイプリルフールネタを除いては、 私のレビューは 2005年10月の Expert Mouse Pinkぶりです。 (なんと2年4ヶ月ぶり!)・・・まさかこんなにトラックボールが寂れるとは orz

というわけで、久々の個別面談は、 前回の Expert Mouse 漆 の反響の良さに気をよくした 漆塗り第二弾です。

……新製品でないなぁ。

Gift for..

さて、何でいきなり(そして新製品のでない場つなぎとしては何で今更の)漆塗りかというと、 それにはちょっとした事情がありました。

私事ですが、この春、4年間一緒に働いた同僚の新しい門出を迎えます。 彼は本当に楽しい同僚だったので、 この楽しい時間の感謝と新しい門出を祝って何かを贈りたいと思いました。

で、いざ何を?と考えれば、 そりゃあ、あたしと言ったらトラックボールしかよね。 私のトラックボール布教活動のおかげでトラックボーラーにしてしまったわけですし、 ちょうど愛用の Marble Mouseが不調と聞いていたので、 これは僥倖、渡りに船。

ただ、普通にトラックボールを買って、あげる、では面白味がありません。 うーん、ならば、と漆塗りです。 もともと 漆塗りマウスは贈呈品として注文されることが多いとか。 ある意味 王道といえるわけで、うん、漆塗りトラックボール、君に決めたっ!

というわけで、再びお世話になります。<<津軽サイバーメディア様。

コンセプト

今回の漆塗りトラックボールは、贈り物です。 贈り物ですから、贈られる方がいるのが前回とは大きな違い。

Expert Mouse 漆の時には、私が納得いくまでデザインを打ち合わせし、 納得いくまでの予算をかけてしまいました。 できあがったモノをみれば、納得のいくお値段なのですが、 さすがに 贈り物として贈られればドン引きですよね。

金額を ドン引きしない程度のほどほどの線の押さえること、 と贈られる人が喜びそうな趣向を凝らすことを考え、 以下の仕様をまとめました。

  1. ベースモデルは Marble Mouse
  2. 本体上面とボタンのみ塗装する(底面とボールは塗装しない)
  3. 本体上面は研ぎ出しを行う
  4. グライダーのマークを入れる

Marble Mouse ですので、筐体構成上、上面とボタンさえぬれば、 通常置いている部分の殆どを塗ることが出来ますので、十分見栄えがします。 ボールは、塗りたいという想いはありましたが、

というわけで、自然に塗らない事に。 (本当はいつか人柱になっておかなくちゃ、とは思ってはいるのですけど、なかなか(^^;)

「上面を研ぎ出しにする」は、 Expert Mouse 漆を作ったとき、そのボール部分に入れて貰ったのが、 非常に美しかったから。もうぞっこんになってしまいました。(津軽塗りすごいねぇ) なので今回は一番面積のとれる本体を是非研ぎ出しにしたかった、というわけです。



さて、多くの人が「ハテナ?」と思うでしょう“グライダーのマーク”というのは、 こんなのです。

これは ライフゲーム という シミュレーションプログラムに出現する面白い性質を持ったパターン。 マニアなプログラマだったらおもわずニヤッとしてしまう、そんな図形です。 で、彼は PS3 をゲームのためじゃなくプログラミングを愉しむために買ってしまうような (ゲームは一本も持っていないしコントローラは使ったことないそうな) マニアなプログラマなので、ニヤッとしてくれることは保証済みです。

そのほかの事は、すべて職人さんにお任せ、という 発注でした。デザインを何度もやりとりする時間が無かったから、という 事情もありましたが、職人さんが自由にデザインを作ってくれると どんな見栄えになるかを とても見てみたかったというのも有りました。

仕事を受ける側からしてみると、やりにくいことこの上なしな要望で、 ご迷惑をおかけしてしまいましたが、 私自身としては(不謹慎なことに) 「どんなのが上がってくるかな、ドキドキ」と待ちわびる時間が、前回以上にとてもとても愉しかったです。 (やみつきになりそう)

できあがり

さてさて、できあがりはというと、こんな感じ。 相も変わらず凄まじい光沢と黒さにうっとりしてしまいます。 漆はいいね。人類の創った文化の極みだよ。

特に、今回の Marble Mouse は曲面で構成されたデザインなので 反射や写り込みがとても美しい。 急なカーブを広い面積に取る Marble Mouse に 漆を施すとこんなにも映えるのかとしばし言葉を失ってしまう。

Marble の左右ボタンも、大きさ、木の葉のような外形、緩やかなカーブを描く 表面等、これまた 漆が映えます。 Marble のデザインの見事さを改めて思い知らされてしまう、 そんな姿に、Marble + 漆 というのは 恐ろしいほどのベストマッチかもしれない、 なんかもう 塗るべくして塗った、そんな思いを抱きました。

ボールの赤に合わせて、ワンポイントは朱で入れてあります。 特にグライダーのマークが広い面を引き締めてくれる好印象。 あの気になるボールのボツボツも、あら不思議、ぜんぜん気にならなくなっています。

ただ一点、惜しむらくは、どう見てもボールの色がまけているよね、ということ。 非常に安っぽく感じます。まるで実物の上に写真を置いてあるような存在感のなさ。 漆の深みの方が反則ですし、ボールを塗らないと決めた時点でどうしようもないことなのですが、 やっぱり残念は残念です。

というわけで、そろそろ気になるお値段を、じゃん!

上蓋(ボタン含む)21,000円
合計21,000円

決して安いわけじゃないのですが、でも案外なかなか、お手軽でしょう?

予定調和と疑いたくなる

「Marble Mouseって、漆塗りするためにデザインしたでしょ? 」 なんて電波発言をしたいくらいです。 「この組み合わせ、あたしが発見したんだぞっ!」と自慢したくもなります。

Marble Mouse のシンプルでありながら、起伏豊かな形状は 本当に漆が映えます。また、パーツ構成から お値段がだいぶ安く抑えられるのも嬉しい特徴。 しかも現行品で、実用物としても抜群というおまけつき。(これが強調に値することがとても悲しい) Marble は漆を塗って初めて完成するといっても、 もう過言では無いという感じ。

漆塗りそれ自体が安くはないモノなので、だれもが気軽に 試せるわけではないのですが、 それでもとにかく、漆 Marble オススメ とだけは言っておきましょう。

かく言う猫自信も、もう何台か別の色や塗り分けで発注したくなっちゃいました。 どーしよっかなー。

各部の詳細

表 今回は、本当に写真を撮るのが大変でした。

Expert Mouse 漆 のときも難しかったのですが、 平面で構成されているEM5と違い、今度の Marble は 写り込みとか反射がホントに制御不能でしたし、 露出は非常に難しいですし。 ホコリはとても目立つのになかなか取れなかったり。

おまけに、猫のデジカメは 今時もうない補色系CCDのコンパクトデジカメ。 なので赤がすぐ裏返ってしまう(T△T 今回はいっそデジタル一眼レフを買いに行こうかと本当に悩みました。 ――というわけで、実物の美しさ 1/5 くらいだと見て頂けると幸いです。

さて、上から俯瞰です。黒を基調に ボール、スクロールボタン、グライダーマークの赤が バランス良く配置されていてなかなか。 面が広いのに間延びした印象を与えません。
後ろ 手前から見ると、朱の密度が上がって見応えがあります。 この結構急な山形の断面が、漆の反射を面白いものに してくれます。
左側面 ニョロっと長い側面が、つるつるになると なんだか本当にニョロニョロしてそうで。

なんというか、ウナギっぽいわぁ(w
前 フロントからです。相変わらず生き物っぽい見た目です。

ボールが完全に力負けしてしまっています。 漆部分と比べてしまうから、色の深みが全然無く見えてしまいます。 なんか贅沢な悩み
裏 今回は、 リーズナブルにが合い言葉なので、 底面は塗装していません。

Marble Mouse の底面は普通に置いている限り 殆ど目立たないので、無問題です(だから Marble を選んだとも言う)。
ボタン ボタン ボール・ボタンまわりです。本体研ぎ出しのパターンもご堪能ください。

本機の「握りの自由さ」を支える おおきなボタンですが、 これがまた、漆に良くマッチします。形が良いよね♪

また、普段は「このボタンイマイチ」と思ってしまうスクロールボタンですが、 赤のワンポイントになると急に愛おしく思えてきます(笑)

こうして漆塗りにして改めて思うのが、 Marble Mouse のデザインの完成度の高さです。 とくにこのあたりは秀逸ですね〜。
グライダーマーク と言うわけで、グライダーマーク。

本文中で紹介したのと向きが逆ですが、 グライダーはどちら向きでも良い物なので 間違いじゃないんですよ?
グライダーマーク グライダーマークのアップです。

塗り分けして貰ったのですが、 単純な朱の塗りつぶしになって居ないあたりが なんとも、「ほぅ」とため息が出てしまうところ。

この塗り分けは、蒔絵とちがって強度がありますので そうそう剥げることはないそうな。 背の部分って Marble の塗装が剥げ剥げになるポイントであるだけに この安心感が Good! です。
シミュレーション 作成前のシミュレーション写真です。 Expert Mouse 漆 の時より各段にリアルになった CG に うわっ、とビックリしてしまいました

たまたま仕上がりと同じ研ぎ出しパターンになっていますが、 本当にたまたまです。が、この CG と 実機を比べると、実機の赤のワンポイントが 面を引き締めているのがよくわかります。
グラビア グラビア グラビア グラビア グラビア グラビア Mr.Trackball こと Marble Mouse です。

このトラックボールはぐんにゃり系デザインですが、 シンプルなラインで構成されているため、本当によく漆が似合います。

今回もいっぱい写真を撮ってしまいました。 しかし、またしてもぜんぜん元のきれいさが出ない・・(TT)。

赤が映える色合いを手持ちのデジカメが上手く表現するのが苦手とあって、 正直今回は、衝動的にデジタル一眼レフを買ってしまうところでした。 解説からずっとこのトラックボールルームを ビジュアル面で支えている Nikon Coolpix 2500 ですが、 さすがにロートルも良いところですし、撮影枚数はのべ 8,300枚で十分働いてくれたですし、 そろそろ交代の良い機会ではあったのです。 が、最近ページ更新してないし、なら勿体ないなぁと踏みとどまってしまいました。 (おっと、話が脱線しました)

曲面が美しい Marble は目で愛するには本当に嬉しい反射をするのですが、 それをそのまま写真にとってしまうと、反射がうるさくなりすぎて、 元のデザインがわかんなくなっちゃうので、 なるべくシンプルな反射になるように、工夫してみたのですが、 その副作用で 本来の魅力の 1/5 といった風情に落ちてしまうのは 私の腕の至らぬところ。 うーむぅ。結局機材より腕ということは、プロに頼めばいいのかしらん(←どういう趣味のサイトだ)

というわけで、この Marble、 手元に置いているときは、周りの景色を良く反射して、 複雑な光沢模様を描くのが楽しいのです。(ピカピカに磨いた車みたい)
また、津軽塗り独特の「研ぎ出し」技法は、この Marble にとても映えます。 今回は「銀河」という黒塗りに近い研ぎ出しでしたが、 もっと派手な研ぎ出しもさぞ美しいに違いないです。うー、試してみたいっ!


さて今回は、Expert Mouse 漆 の時に夢想した 「もしこれが2万円だったら?」を実現しちゃってます。 (もっとも塗り代だけで、マウスのレディメイドに比べて Marble Mouse そのもののお値段がかかっていますが)
お手軽とまで言えないまでも、多くの人にとって チャレンジ可能な価格になっていると思います。 いかがでしょう?
正直 津軽サイバーメディア様にはわるいのですが、 Microsoft Wheel Mouse Optical よりは断然こっちの方が 漆幸せ度が高いので、 漆 PCガジェットを欲する方には是非オススメします。
(で、ついでにトラックボールを初めて見る、ていうのはどうでしょう?)

――うーん、いけない、あたしってば、隙あらば 布教活動をしてしまうわ(^^;

<総合評価>

繰球の気持ちよさ 光学式 + 40mm径は官能的繰球感の入り口です。
回り出しの滑らかさ 点支持特有の「カクン」感はありますが、あまり気になりません。
回転中の滑らかさ さすが光学式3点支持で、驚くほどなめらかです。
ドラッグのしやすさ 人差し指型ですが、大きなボタンのおかげでとてもドラッグしやすいです。
対腱鞘炎 持ち方によるかしら? 手を添える自由度が高いので「痛くない持ち方」を模索する余地があります。
コストパフォーマンス Marbleのパーツ分割が良いので、漆塗りの効果に比べてコストをお安くあげられます。 (とはいえ、フツーの人が入力機器に出すお金を、大きく逸脱しているのには変わりないのですけど(^^; )
三猫のおすすめ度 ★★★★★
漆塗りと Marble の相性は抜群です。すっごいおすすめ!