トラックボール個別面談

Kensington Orbit Elite (Orbit Elite :Model 02697)

Kensington Orbit Elite
メーカー Kensington
ボタン数 2ボタン
ホイール 無し
エンコーダー ゴム巻きシャフト式
ボール支持 アルミナセラミック球(推測)による3点支持
ボール径 40mm
コネクタ PS/2・USB

定番の異端児

OrbitはKensingtonの定番普及機種です。 40mm経の定番サイズのボールに、 これまた定番のアルミナセラミックの支持球とゴム巻きシャフト機構をもった2ボタントラックボールです。

このOrbit Eliteは長らく続いたOrbitスタイルを一新した後継機種・・・のハズなのですが、 どうやら本機は傍流らしく、Kensingtonの中では異端児扱いとなっています。

名機、Orbit の後継

トラックボールといえば LogitechかKensingtonかというKensington、 なのでKensingtonのトラックボールラインナップは非常に充実しています。

そんな中で入門機クラスとして用意された Orbit は、 他社の様に入門機以上の役割を背負わされなかったせいか、 無理をせず、手を抜かず、非常に綺麗にまとめられています。

そんな Orbit の名を受け継ぐ Orbit Elite は、 いささか古い印象となった先代のデザインを今風にリニューアルしたものの、 その「まとまりのよさ」をしっかりと受け継いだ印象を受けます。

Logitech の Mable Mouse と同じカテゴリに類する本機ですが、 Mable Mouse と比べると横方向のカーブがとても穏やかな形状をしています。 この緩やかなカーブを描いた筐体は手を添えてみるとExpert Mouseと同じ哲学でデザインされていることが解ります。 Expert Mouseの上二つのボタンを取り除き、手前側にパームレフトを伸ばしたような形状で、 ボールとボタンの位置関係が似ているため、握り心地もExert Mouseを連想させるモノとなっています。

2ボタンのシンプルな形状ながら、この押しつけないフィット感、猫は気に入っています。

また、ボールに目を向けると 本機はアルミナセラミックの小球による3点支持のボール支持機構と、ゴム巻きシャフトによる 機械式エンコーダという、光学トラックボール以前には一般的だった機構を保っています。

ゴム巻きシャフトの機械式エンコーダながら、40mm経のボールを使う無理のない構造により エンコーダが滑ることもなく意外にスムース。 「気持ちよさ」はおよばないものの実用性では光学式にヒケを取りません。

うん、安くて機構的に華やかなところはないのだけれど、 このシンプルさがいいんじゃない? そつのないまとまりのよさと 機能的デザイン的シンプルさこそ本機の魅力です。

異端の理由

トラックボールは2ボタンでも、「同時押し」が普通につかえるので、 実質3ボタンと同等のオペレーションができるはずなのですが、 ・・本機の場合それは適いません。

本機はボールがブルーにイルミネーションされるのがウリの一つになっているのですが、 実は左右ボタンの同時押しがハードウェアレベルで このイルミネーションのON/OFFに当てられているため、 「同時押し」を有効に使うことが出来ないのです。

うーん、Kensingtonともあろうものが、こんな失態をするとはにわかに信じられません。 なるほど、本機がMouse Worksでサポートされていない理由ってこれだったのね。 猫も初めてこの事実を知ったのは購入後でして、愕然としてしまいました。

同時押しに「スクロールモードへ移行」を割り当てようと思っていた猫、 こんなときは困ったときのTrack Scrollです。 実は、「左を押しこんでそのまま右も押す」というTrackScrollなのですが、 なんと「左をちょん押しして間髪入れずに右を押す」でもスクロールモードへの移行ができるのを確認。 格闘ゲームのコマンド入力が如く練習が必要ですが、なんとかスクロール機能をゲットすることはできました。

追記 2004.06.06

猫はMacを持っていないので未確認なのですが、 伝え聞くところによるとこの同時押し、どうもMac OS X 版のMouse Worksを使うと、 ちゃんと効くらしいです。(このとき、ボールは光らない模様・・)

ちなみにWindows版 Mouse Worksだと、同時押しはおろか「Kensingtonのトラックボールじゃない」と怒られる始末。(TT) う、うらやましいわっ、Mac OS X !

よくまとまってはいるものの

40mmボール、ゴムローラ式エンコーダ、2ボタンと押さえられた仕様ながら、 Expert Mouseと同じ思想を感じられるデザインと、入門機ながらしっかりとしたコンセプトが とても心地よいトラックボールです。 同時押しが出来ないのという欠点は非常に痛いのですが、買いどころ、使いどころのある トラックボールだわ、と思います。

ですが、米Kensingtonでは既に本機をベースしたOrbit Opticalも発売されています。 こちらは同時押しできない欠点も解消済みで、MouseWorksでもキチッとサポートされていて、 コチラがあるなら、わざわざOrbit Eliteを選ぶ理由がないというのが正直なところ。

逆にEliteの良さを引き継ぎ改良された Orbit Opticalには期待が高まるというもの。 Orbitの良さは本機でも十分に味わえるのだけれど、せっかくならOpticalを選ぶ方がよいかしら。

各部の詳細

表 エイを連想させるシンメトリカルなデザイン。 とても気持ちよいデザインです。

Kensingtonのトラックボールは ほとんどのモノがシンメトリカルで美しいデザインですが、 このOrbitEliteはその中でもかなり最近の流行のメタリック塗装&デザインです。

グレーの部分はラバー塗装になっていて、とても手触りが良いのも最近流行ですね。
後ろ Kensingtonのロゴが格好いい手前からのビューです。

全体として大きな弧を描くラインはとても綺麗で、使いやすいです。
左側面 Expert Mouseと違い、パームレフトを含んだ筐体です。

手を置きやすい形状ですが、猫はちょっと汗をかきやすいかなとも思います。
前 フロントから見るとなんとも生き物めいて見えます。
裏 背面です。

光るボールがウリのせいか、青い透明素材で作られていますが、 ちょっと安っぽく感じます。

ボールの裏側が接地しないデザインは面白いです。

左の方に如何にもスイッチが入りそうなくぼみがありますが、 もしかしたら設計初期ではライトアップのON / OFF のスイッチを ここに設けるつもりだったのかもしれません。
ラベル ラベルです。

型番は # 02697Yです。
ボタン 広くて押しやすいボタンですが、旧OrbitやExpert Mouse 5のような 指がかりとなる突起が無い分、 若干ですが押しにくく感じるときがあります。

ここはデザイン優先で使い勝手が落ちてしまったポイントです。
ボールを外す 本機のボールはただ乗っかっているだけなので、簡単にボールを外すことが出来ます。

ボール支持の樹脂小球と、ゴム巻きエンコーダシャフトが見えます。 「乗っけるだけ」の構造はホントにボールを外すと全てが向き出しになるのでとても掃除しやすい構造です。

ちなみに、奥シャフト上に見えるのがライトアップ用のブルーLEDです。
隠しネジ 本機の隠しネジは、一カ所、一番下側のゴム足の下だけです。
筐体オープン ご開帳〜♪

開けてみるとやっぱりシンプル。 基盤は一枚だけの構成はKensingtonならでは。 エルゴなデザインのものは複雑に基盤を這わすものが多いですが、 本機のなんとも無理をしないスカスカ感はシンプル イズ ベストな感じで 好感が持てます。
筐体上面 開けてみて初めて気づいたのですが、ゴム塗装部は別パーツだったのですね。
筐体下面 ホントにシンプルな内部機構です。
ボールユニット 非常に綺麗にまとまった感のあるボール受けとエンコーダです。

ユニット化されていて精度が高そうな感じを受けます。
摺動グレード樹脂の小球の回りに壁やくぼみの少ない構造になっているため、 他の同形式のトラックボールと比べると、小球部にゴミがたまりにくい(たまってもはがれ落ちる)ようで、 ここらへんにも地道なノウハウを感じます。
光るユニット アルミナセラミックの小球による3点支持とXY軸エンコーダに直結するゴム巻きシャフトを スプリングで軽くボールに当てるオーソドックスなものですが、 作りが良いためかとても気持ちよさでは光学式に適わないモノのとてもスムースに ボール操作が行えます。

奥に見えるLEDはホントに照らすだけです。(^^;
エンコーダ エンコーダはこれまた非常にオーソドックスなもので、 穴開き円盤を光源とセンサではさんで回転数をカウントするモノ。
マイクロスイッチ どこのメーカのものかは解らないマイクロスイッチ。

Expert Mouseがオムロンの高級スイッチを使っているのと比べると明らかに差別化されているのですが、 それでもマイクロスイッチ、クリック感は悪くないです。
基盤裏返し 基盤背面です。コントローラチップがちょん、とのっています。
コントローラチップ コントローラ・チップです。
大きさ比較 大きさの比較です。

比較的コンパクトなのですが、幅が広いのが特徴です。
ボールの大きさ ボールとドリキャスのVMとの比較です。

40mmの中玉です。ライトアップされるためブルーの透明のボールです。
グラビア 本機のウリが光るボールならば泣き所も光るボール。 決して悪くないトラックボールなのですが、同時押しが出来ないこと ただその一点でおすすめし難いトラックボールです。

猫は本機のフィット感やシンプルさはとても好きなので、 Orbit Opticalは是非入手したいところ、 未だに国内発売されていないのですが(2004年2月現在)、首をなが〜くして待ってますよ。

<総合評価>

繰球の気持ちよさ ゴムシャフトエンコーダにしてはスムースな部類ですが、気持ちよさは今一歩。
回り出しの滑らかさ ゴムの静摩擦が大きいので滑らかに回り出します?
回転中の滑らかさ ゴムのグリップ力がちょっと重いのですが、スムースです。
ドラッグのしやすさ 大玉でないことも相まって結構ドラッグがしやすいです。
対腱鞘炎 悪くないハズ
コストパフォーマンス 値段分の作りの良さがあります。スペック的に背伸びしてない分品質に回っている感じです。
三猫のおすすめ度 ★★★
本来ならばもっとお勧めしたいトラックボールなのですが、同時押しが出来ないという一点で低評価としてしまいます。