メーカー | A4Tech |
ボタン数 | 3ボタン |
ホイール | 2ホイール(専用ドライバで縦横スクロール) |
エンコーダー | ゴム巻きシャフト式 |
ボール支持 | アルミナセラミック球による3点支持(推測) |
ボール径 | 40mm |
コネクタ | PS/2・RS-232C |
A4Tech WWT-5 は一時期 秋葉原で非常に安く流通していたトラックボールです。
(一応「ScrollTrack」という商品名もあるのですが、WWT-5の方が通りが良いのは
やはりバルクで流通してたからでしょうか。)
A4Techは なんだか「怪しさ抜群」の激安インプットデバイス市場の中で、 強烈な個性(なんじゃこりゃ度とも言う・・・)と、 その「インパクト第一主義」かと思うような外見とは裏腹に 意外にも使いやすく「考えられた」デザインであることから、 ファンの多いブランドです。
本機もそのA4Techの哲学に漏れず、 インパクトのある外見とその外見が実は「機能的」であることを 納得させられる使いやすさを兼ねそろえたトラックボールです。
WWT-5は「クリオネ」という愛称で呼ばれています。
それは見ての通り外見からなのですが、 中でも「クリオネ」を強く印象付けているのが 「クリオネの羽根」である左右のクリックボタンです。
ボタンをボディから飛びだたせるという発想も凄いですが、 このボタンがまた、非常に押し心地のよい素晴らしい出来なのです。
トラックボールユーザなら誰もが知っている「ボタンを押すのは指先に限らない」という事実、 現に Kensington の Expert Mosue や Logitech の CT-65 など、 親指の腹や小指の付け根でボタンをクリックするデザインはトラックボールの中では一般的です。
本機の「羽根」はそんな使い方に注目し、指の腹(横)で クリックするのに特化した形状をしています。 こんなに小さな羽根ながら、 親指の第一関節と小指の第二関節で押すととてもに具合が良く、 インパクトのあるデザインながら良く練られたものであることが伺い知れます。
本機のボール左右に二つ配置されているスクロールホイールは、 A4Techのお家芸である「ダブル・ホイール」で、クリックがなくスルスル回せることと、 専用ドライブを使うと左右のホイールがそれぞれ縦、横スクロールに当てらるのが売りの なんだかMicrosoftのチルト ホイールを先取りしたようなコンセプトを持つホイールです。
ドライバを入れないと両方とも普通のスクロールホイールに成ってしまうので、
一見無駄っぽい気がするのですが、
意外なことにドライバを入れない状態でも2ヶ所のホイール配置というのは、
人差し指でも薬指でもホイールでも好きな方で回せるのでかなり便利です。
場所と操作イメージはKensingtonのスクロールリングに近いものがある、
といえばその使いやすさが伝わるでしょうか?
という風に、 その一見「インパクト至上主義」っぽいデザインは、 使ってみると実は非常に熟考を重ねたものなのです。
ん〜っ、A4Tech、あなどりがたし だわっ!
本機は(推測ですが)ファインセラミック(アルミナセラミック)の小球による3点支持で、 それにゴム巻きシャフトのエンコーダのついた 光学式トラックボールが出る前の一般的なトラックーボールです。
ボールのサイズに無理をしていないおかげか、 くるくる回してもカーソルの動作は安定していますし、 回転の軽さや滑らかさも光学式やKensington Expert Mouseのステンレス・ベアリング・ローラ式には 適わないものの、なかなかの滑らかさ。もちろん実用上の問題はありませんし、まずますの気持ちよさもあります。
でも、回し心地の快楽度では、やっぱり光学大玉やステンレス・ローラには適いません。 Microsoft の Trackball Exprolerと本機を比べた場合、 握り心地やボタン・ホイールの配置はおろか、 転がりだしがスムーズな分、ある意味ボール操作のし易さですら本機に軍配が上がるのですが、 コロコロの気持ちよさでは大きく負けてしまっています。
げに怖ろしきは人間の習性。 いくら他が良かろうと自然と「気持ちよい方」に 手が伸びてしまいます。う〜むぅ・・・。
と、言うわけで A4Tech WWT-5は非常に良く出来ていてそれで居て安い(2,000円で買えちゃう!)、 非常にお勧めの機種なのですが、 猫自身はこれの光学式バージョンを切望してしまうのです。 お願い、A4Techさんっ!
上面はまさにクリオネ。 羽根状のボタンとシンメトリカルで、海洋生物を連想させるデザインの 筐体は非常に可愛らしいです。 頭としっぽがある(ように見える)デザインは、見ためのインパクトのためではなく、 頭部分は握るように手を置ける部分、 しっぽ部分が手首をパームレフトという機能を担っているためです。 |
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手前から見ると、意外に平べったい形状をしているのが解ります。 |
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クジラを連想させるサイドビューです。
(センターボタンが潮吹き穴のよう(笑) ) センターボタン、ホイールのでっばりさ加減はかなり上手で、 ボール操作時に邪魔にならないながらも、 ボタン・ホイール自体の操作がやりにくく成らない様に配慮されています。 |
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前から見たときだけはとてもシンプルなお饅頭の様な表情を見せます。 この緩やかなカーブは手の先っぽ全体でグリグリとボールを回すのを邪魔しない なかなかGoodな形状です。 |
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海洋動物を連想させるせいか、なんだかウォータラインモデルの
底を連想してしまいます。 それにしても、青いラベルがとても派手。 |
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偽造される側には絶対成らないからか(笑)
なんともシンプルな表示のラベル。 本機の型番 WWT-5E意外にはとくにおもしろみのある表記もなし。 というか、メーカ名すらありません・・。 |
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指がかりの良いベストボディションにあるホイール。
ボールに置いた手を動かさずにすぐに操作できるこのポディションは
Kensingtonの「スクロールリング」と同等の扱い安さがあります。 また、A4Tech縦横スクロール様に左右両方についているのですが、 ドライバを入れなければ両方ともただのスクロールになります。 これも実はポイントが高く 手の現在位置により、人差し指・薬指を使い分けられ快適です。 |
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パッケージによると、この羽根様ボタンは 「Convenient wings button(便利な羽根ボタン)」と言う様です。 この羽根、見た目に反して非常に操作がしやすいです。 ここら辺の「一見奇抜で使いにくそう」だけど、「使ってみるととても使い易い」デザインが A4Techらしいです。 |
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A4Techのクリックの無いスルスルなホイール動作は、マウスでは「妙に」感じたのですが、
不思議なことにトラックボールの場合、ボール操作の滑らかさに良くなじみ
非常に好印象を覚えます。 と、言うわけでホイールはかなり良い感じです。 (余談ですがこのホイール、MSチルトホイール用の「加速スクロール」と相性が良いです。) |
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左右ボタン、スクロールホイールと「ボールボディションのままで使いやすい」100点満点の配置・形状だったのですが、
センターボタンだけが微妙に使いにくい60点の配置です。 かといってこれ以上の解が思いつくわけでもなく、他の操作の邪魔にならずにそれでいて 必要以上に押しにくくならなない様に調整されたボタンには、やはり熟考の後を感じます。 とりあえず中指の第二関節で押すようにするのかしら? |
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ボールをは裏の穴から指で押し出すことで簡単に外すことが出来ます。 ボールを支える樹脂製の小球とボールの回転を検出するゴム付きシャフトという 廉価トラックボールの定番機構が顔をのぞかせます。 |
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さてさて、いよいよ分解です。 本機のネジ穴は4つ。全部ゴム足に隠されています。 う〜ん、トラックボールってなんでネジ穴隠したがるのかしら・・・。 |
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ケースを開けると一番はじめに目に付くのが
本機の特徴である羽根ボタンです。
なんだかいよいよ翼じみてきます。 |
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うわっ! 本当にはばたいてしまうのですね、この翼。 左に見えるスプリングで持ち上げられていて、 つばさを押し下げると下のマイクロスイッチが押される仕組みです。 |
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翼部品です。 うーん、先端が細く成形されていますし、翼断面も「いかにも」な感じですし、 まるで飛行機のプラモデルのよう。 とてもこだわって作られているというか、こだわる必要あるのかしらというか(^^; でもおかげで触り心地よいですよ。 |
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マイクロスイッチです。 左右中央の3つのスイッチに使われています。 どこのものだかは解りませんが、 A4Techのマウス追っかけサイトさんをみると A4Techのマウスはコレをよく使っているようです。 |
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センターボタンはとてもとても長いバーでスイッチを押しているようです。 でも動作に不安げなところはないので、たいしたものです。 | |
ボタンの部品です。 |
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センターボタンのマイクロスイッチは、
ボール支持部と羽根の支点の間に配置されています。 うーん、結構きつきつなのね。 |
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ホイールはスリッドをカウントするよくある仕組みです。 A4Tech自慢のノイズレスホイールですので、 回転のカチカチ感を作り出す機構は当然ついておらず、 とてもシンプルです。 ちなみにノイズレスホイールは慣れると結構良いモノでクセになります。 |
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ボールの支持部と回転を検出するエンコーダは一昔前に主流だったもの。 小球による3点支持は今の光学式トラックボールも同じですが、 ゴムを巻いたシャフトをスプリングで軽くボールにあて、それを検出する仕組みは、 実用面では掃除が大変というだけですが、 ゴムを強引に滑らす時の「ズズズッ」という感触が トラックボールの命である回し心地の気持ちよさを奪います。 |
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エンコーダはスロット付きの円盤を光源とセンサではさんで 遮光をカウントするおなじみのモノです。 | |
ボールはアルミナセラミックの小球で支えられています。 この樹脂を使った3点支持は光学式でも LogitechのMarble Mouseなんかで見られます。 |
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で、エンコーダと支持部です。 なんだかオイルが全体にグリグリ塗られています。 う〜ん、おおざっぱ(笑) |
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本機は紙フェノール基盤です。 実は本機の基盤の穴と筐体下面から出る棒は、 非常に高精度で加工されていて、 まるでスナップフィットのプラモデルみたいにぴたりとかみ合います。 |
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コントローラ・チップです。 「A4」の部分に遊び心があって良い感じ。 |
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基盤右上には本機の型番「WWW-5E」と、
「1999-04-15」の日付が入っています。 猫が本機を新品で購入したのは2003年12月のことですので、 ずいぶんと長くストックされていたようです。(^^; う〜っ、、あんまり売れなかったのかしら・・・・。 |
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基盤裏はこんな感じです。 | |
なかなか美しいラインを描く筐体上カバーです。 ウイングの出る穴をみると分割金型で成形されているようですし、 こちらも非常に凝った成形のされています。 |
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そして筐体下。 |
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大きさの比較です。 トラックボールとしてはそれほど大柄ではない本機も InteliMouseと比べると結構大きく見えます。 なんだかクリオネというより怪獣じみて見えてきます(笑) |
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ボールとDreamcastのVisualMemoryとの比較です。 ボールのサイズは、Logitech の Marble MouseやKensington の Orbitと同じ40mmです。 |
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なんだかとても可愛らしいデザインながら、
「可愛いポイント」が実用的なデザインであるところが
とても愛おしく感じるトラックボールです。 お値段、使い心地と、かなりお勧めのトラックボールなのですが、 残念ながらエンコーダはゴム巻きシャフト式と一世代前のもの。 ボールの転がし心地がまさに「玉にキズ」ですので、 是非是非光学式Ver.を出して欲しいところです。 (それにしてもこのアングルから見るとPSOのマグみたいだわね・・。) |
繰球の気持ちよさ | 問題はないのだけれど、いまいち。 |
回り出しの滑らかさ | スムースに回り出します。 |
回転中の滑らかさ | 引っかかりとかはないのですが、やはりゴムシャフト式のズズズ感は否めません。 |
ドラッグのしやすさ | 羽根ボタンはかなりドラッグしやすいです。 |
対腱鞘炎 | なかなかよさげです。 |
コストパフォーマンス | これが2,000円!? コストパフォーマンスは抜群です。 |
三猫のおすすめ度 | ★★★★ |
お値段の安さとデザインの使いやすさから四つ星。とても練られたデザインはすばらしですが、ゴムシャフトエンコーダの限界が本機評価の限界となるのが残念。 |