猫の小部屋 - ねこのこべや -

猫日誌 -2004-


2004年09月

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09月30日(木)

言語ネタが続いています。 結局コンピュータの演算も人間の思考も、インプット―プロセス―アウトプットに過ぎない訳ですので、 in/outのプロトコルであり、人間のプロセスロジックをも支配する「言語」に興味は尽きないのです。 人間は言語そのものを使って思考しているわけではありませんが、 言語は人間の思考を縛ります。だから、ホントはいろんな言葉をしゃべれる方が 人は自由な思考を手に入れられるのですが、猫の低スペック脳にはそれはちょっと(いや、とても)辛いのです。

ただですね、プログラマなら、全く系統の違う言語を5つは使えた方がよいと思うのですよ。 (一見無茶言ってるようですが、実はプログラム言語は自然言語に比べればとても簡単なので、 それくらいは現実的なのです)

日本語の敵、Microsoft

偽札を見分ける極意は、ホンモノばかりに触れていること何だそうです。 そうすると偽札に出会ったとき凄い違和感を感じます。 ただ、人間はなれるのが早いので、偽物に触れつづけると、 「ホンモノ」の間口が広くなってしまって、直ぐに解らなくなっちゃうそうです。

前回の猫日誌で触れた 金田一春彦さんの著書「日本語」のなかでも、 そうして日本語が変化していくことを懸念してらっしゃいましたが、 (特に外国の言葉に浸食されることをです)そこも含めて生きている言語なんだよ、 という大人の視点に猫は「やっぱりいいわぁ、この方」と感心してしまいました。 学者離れしたバランス感覚と、揺るぎない信念は金田一さんの魅力です。 (だから、新明解国語辞典は読み物としてもおもしろいのですよ♪)

ただ、そんな猫でも許せないモノが一つあります。 その侵略者の名は「マイクロソフト日本語」です。

マイクロソフト日本語

マイクロソフト日本語とは、WindowsやMicrosoftアプリケーションに散りばめられている、 とにかく変な日本語達です。例えばこんなのがあります。

Windowsを開始しています。

う〜ん、、、とても違和感を感じる文章です。(^^;)だって、日本語の開始はあくまで「点」である概念なのに、 「Starting」をそのまま訳してしまったから、変な日本語になっているのです。 なので、日本語でいうなら「Windowsを起動中です。」とか「初期化中です。しばらくお待ちください」でしょうか? 一昔前のワープロとかででこんな文章を見たことある人も多いんじゃないかしら。

と、言っても既に侵略されて10年、違和感を感じない人も多いかもしれません。 こういう「下手な訳文」調の文章は昔から多かったのですが、 それに違和感を感じるほど日常生活にとけ込むことは考えられませんでした。 いくら外国企業だからと言って、この規模の企業ならきちんとした訳が出来て当然と思われていました。 (文章を書くエキスパートが(校閲部門が)あるものです)

Microsoftは、非常識な品質を当たり前にしちゃった会社なので 非常識な日本語すら当たり前にしてしまいました。 結果マイクロソフト調日本語に、違和感を感じない人が増えてしまったのです。(かく言う私もそんな一人です)

違和感を感じなくなってもイイじゃない、と思う方もいるかもしれませんが、 違和感を感じない、ということはそれだけ同じ文章の解釈の幅が広がる、ということです。 自然言語の文法は驚くほど優れた構造をしているのですが、 それでも完璧ではありません。運用に置いて紛らわしい、間違いを起こしやすい、 効率の悪い部分において、 それを回避するような使い方をしていくのも自然言語の特徴です。 イディオムのなかには長い言語運用に置いて、 効率的な整合性チェックを可能にする為に生まれたモノも多いはずです。

文法的に合っているけど変な言い回しに違和感を感じなくなると言うことは、 平たく言えば、「え〜、なんか日本語として変だよ〜。誤植じゃない?」というのが、 解らなくなっていってしまうということです。 だから、ちょっとの聞き取りミスで誤解してしまいやすくなりますし、 とても運用しずらい言語になってしまうのです。 たかが「みだれ」と侮る無かれ、ですね。

人の国の文化も破壊する、さすがです。

蛇足
みだれと言っても「MS日本語」を「みれる」などの「ら抜き言葉」と一緒にしてはダメです。 こちらはどちらかというと、可能と受け身の誤用に対する「進化」ですが、 MS日本語は、合理性(言いやすさ・使いやすさ)のために生まれたわけでもない、 言語を運用していない人間による「ダメ日本語」に過ぎません。

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09月27日(月)

というわけで、最近猫は「もっともっと日本語を知らなくっちゃ」というわけで、 金田一春彦さんの日本語を読んでいます。 実は猫は、金田一春彦さんをあの新明解国語辞典の 金田一京助さんと勘違いして購入したのですが(^^;)、 その内容を読むウチにどんどん惹かれていって、結果的に猫は大ファンになってしまいました。結果良ければ、ですね♪

実際読んでみるととても面白い内容で、猫は是非是非オススメしちゃういます。 例えば日本語の人称名詞が単なる名詞にすぎないというお話とか (だから電話で「私、私」なぁんて言い方が出来るんだそうで、 ということは日本語じゃなかったらオレオレ詐欺なんて 難しいのかしら?)、 勉強だけでなく雑学読み物としてもとても面白い本ですし、 やっぱり流石の金田一春彦さんですので、とても深くまた他に迎合しない 筋の通った論解に「とても勉強になるわぁ」と思うのです。 やっぱり、ホンモノは違います。

その殆どの内容が猫の日頃思っていたこと、感じていたことに回答を与えてくれるのですが、 ひとつだけ、猫にとってちょっと見解が違うのは、 日本語は複数形と単数形を意識しない、ということです。

日本語は抽象的なのがお好き?

日本語は、名詞の形が 複数形と単数形で変わらない、というか、 その名詞を口にするときそれが単数であるか複数であるかを意識しないでよいというのは 日本語と、英語などとの差異として非常に有名です。

他の例としては「男性」と「女性」を不確定のままにかけるということもありますが、 こういう区別しなくても良い言語というのは、とても柔軟であり(または曖昧であり) なにより、事象の決定をしないままに――しかも不確定であることをことさら強調もせずに、 かけるというのは、日本語の優れた特性の一つです。

複数か単数かを意識しないというのは非常に便利な反面、情報の欠落を生み不便であることもありますが、 はっきりさせたいときには、そういうのを強調する文章(例えば、「トラックボール達」など)を書けば良いので、 欠陥というほどのこともありません。確かに「必ずはっきりさせる言語」に比べて 「はっきりさせてもさせなくとも良い言語」は、 文章を作ったときに、意味が必ず保証されない――まるで変数の型チェックを行わないプログラム言語 の様に、解釈時に誤解釈してしまう可能性があります。だから必ずしも日本語方式の方が良いとも限らないのですが、 そこはそれです。

さて、早速本題なのですが、プログラマな猫は「日本語に複数形が無いこと」は、 単に「複数と単数を区別しないこと」であるとは思えないのです。

猫はオブジェクト指向にどっぷりとつかっている技術者なのですが、 極一般的な「クラス型オブジェクト指向」では、 そのモノの「概念」である「クラス」と、 その概念の実際に手に取れる形としての「インスタンス」というもので オブジェクトを扱います。

例えば、「トラックボール」という概念は、「球を転がしてマウスカーソルを動かす インプットデバイス」となりますが、 そのインスタンスは、例えば「MicrosoftのTrackball Explorerという機種で、 使い込んでるので塗装がちょっと剥げはじめているコレ」となります。

話を日本語に戻しましょう。

例えばOnLineショップでマウスを買おうとすると、その製品カテゴリ名は日本語のサイトでは 「マウス」 ですが、英語のサイトでは「Mouse」の複数形である 「Mice」 と書かれています。もちろんお店ですから、 たった一つのマウスを1台限り売っているのではないので これは当たり前です。でも日本語の場合、暗黙のウチに「複数のマウス」を意味しているのかというと そうではないと思うんです。

たぶん、この場合の「マウス」とは「マウス」という概念そのものを指しているのでしょう。 言うなれば、インスタンスの集合ではなくってクラスの名前であるわけです。

区別しないのは数なのかしら?

ただし、日本語の名詞が抽象概念とその具現化物を区別しない・・、という風に一般化することは出来ません。 例えば、

猫はトラックボールを持っている

と日本語で言ったとき、確かに猫が持っているのが1台なのか、たくさんなのかは解りません。 実際猫はたくさんのトラックボールを持っているので、 英語とかならば複数形で書かねばならないのですが、 逆に考えるとこういう言い方をしているときは 猫が持っているのが「1台」だろうが「10台」だろうが そんなことはどうでもイイ時だと 思いますので、実問題は無いでしょう。

この言い回しはいろいろ解釈のしようがありますが、

  1. 「トラックボール」を持っている、の「〜」に当てはまる具体的なモノを 持っているか否か、という意味
  2. 概念として扱われているのは「トラックボールを持っている」こと自体が概念である。

どちらにしても、 「トラックボール」という名詞のあやふやさにに巻き添えを食らったと言うべきでしょうか、 その名詞が掛かる動詞句ごと抽象化されている、つまりその概念が示すモノ全部、 をひっくるめてしまう、、と猫は思います。

なんでも抽象

もうちょっとうがった見方をすると、 日本語とは「ユニークなモノを明示するための特別な構文が無い」言語なのかもしれません。

日本語の示すモノは一般的に概念だったり、抽象的だったり、汎化されていたりします。 その文章がしめすモノが幾通りになるか、というのは本質的に全然考慮していないです。 なんでも抽象化、すきあらば抽象化と言ったら良いでしょうか、 もう節操なく一般化してしまうんです。

なんでこんな言語になっているかというと、 猫の憶測では、日本語は後置文法なため、 決定が後にきます。文が長くなればなるほど意味がつかみにくくなる性質があるため文を短く、余分な情報は極力省く、 そういう方向になっていったのかなぁ、なんて、思ったり。(これはちょっと想像力豊かすぎかしら・・・)

それ、の多用

プログラマは常日頃明確に区別することを心がけているのですが、 普通一般だと、あるモノに対する「概念」と「集合」の区別は紙一重です。 (だって、ある特徴のある集合につけた名前が、概念の名前ですから) これは、複数形とか概念とかを区別する特別な文法のない日本語だと、 「概念自身」なのか「ソノモノ」なのか「ソレラ」なのか、 そのドレを指しているのかとても判断が難しいです。

で、そういうときはどうすれば良いかというと、 続きの文で「それ」で受けてあげればよいのです。 もし、複数の集合を指すのであれば「それら」で受けなければなりませんし、 単一のモノまたは単一の概念を指すのであれば「それ」で受ければよいわけです。 また、単一を強調したいときはそのを使えば、 いかにも単一であるという印象を与えます。

結局、単数・複数の変化を全部の名詞につけなくても代名詞につければいいということ なのかも。 これを使うと、

トラックボール、それはすばらしい道具です。
でも、私の家にあるそれらは古いものです。
けど、そのトラックボールはすばらしいです。

という感じで、トラックボールという概念を 代名詞で受ける度に、クラスを指したり、コレクションをさしたり、インスタンスを指したりするように 変化させることができちゃいます。コレも日本語強みなのかもしれません。

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09月15日(火)

プログラミング言語って、どうしてこう「専門の!」て臭いがするのでしょうね。

コンピュータのインターフェイスとしてそりゃあGUIは優れています。 CUIだってなかなかのモノです。

でもコンピュータをワープロもどきやブラウジングマシーンとして使うような 「拡張可能便利機械」として使うのでなく、 コンピュータとしてつかうならば、コンピュータとお話が出来た方がいいでしょう? だから、普通の人が普通にプログラム言語を書ける必要があると思います。

にゃあ言語

「これこれこういう事をやっておいて欲しい」と言うことを コンピュータに伝えるのがプログラム言語です。 プログラム言語はプログラマが使うモノだという認識は強いのですが、 これは間違いです。 お父さんは大抵犬小屋を造れますが、大工さんじゃないのと一緒です。 (逆に犬小屋が作れるだけで自分をプログラマだと思いこんでいる人がなんと多いか!) ただ、ちょっとした木工工作に心理的抵抗感を覚えないというのは 生活をとても豊かにしてくれるハズです。たとえ大工さんじゃなくってもね。

・・・と言うことを猫は口癖のように言っていますし、 猫日誌でも何度もそんな話題を振った回があります。 こういった場合いわゆる「スクリプト言語」の出番なのです。 Windowsのスクリプト言語としては、VBScriptがあります。 猫はWindowsをとてもよく使うのでVBScriptもそれなりに良く使うのですが、 全然好きに慣れません。というかBasicは嫌いです。 MicrosoftはBasicは初心者にわかりやすいと未だに思っているのかしら?

それ以外にも問題があります。 例えばハッカーの間で良いコメントとは、と議論される際いつも思うのですが、 変数名・ロジック名を適切なモノにすれば無駄なコメントを省けるというのは 「英語が母国語だから」というのをすっかり忘れているんじゃないかしら、 ということです。 良い変数名、良いロジック名はプログラム言語のコードを 自然言語とオーバラップさせるため、コメントがなくても読みやすいコードが作れます。 が・・オーバラップさせる言語は常に英語。英語がすらすら読めない人間が 英語にオーバラップされたプログラム言語を果たして読みやすいと思う得るか・・。 また、識別子に日本語がたとえ使えたとしても、 文法も、概念も、制御構文も英語なスーパーチャンポンなコードが出来るだけです。 (勿論、プログラマなら英語でコードが書けなきゃ駄目です。 でも「フツーの人がフツーに使う」という視点で視ると、そういうのもどうよ、と思うのです。)

電車の中でちょっと考えてみました

で猫が夢見る言語は RPNな書式をサポートし、識別子を言語構文には組み込まない、 そんな言語です。

(そのいち)その言語を使う人の自然言語に似せた予約語をマウントできること、 RPNをサポートすること。ようは、 日本語ライクな予約語をマウントすると「ひまわり」のような感じになる言語ですが、 日本限定にならないようにしよう・・なぁんて欲を感じさせる仕様です。

(そのに)ブロック化はPythonみたいにインデントで表現したいにゃ。 データ構造は「リスト」をベースに望みとあれば連想配列になっちゃう、 無名関数が作れるので関数をリストに入れることが出来るとおもしろいかも。

(そのさん)カッコをネストするとわかりにくいので 「そして」構文が欲しいな。RPNとなじみやすいので問題ないとおもうのだけど。

(そのよん)オブジェクト指向をサポートするなら プロトタイプベースがいいな。 リストのシンタックスシュガーがオブジェクトに見えるような そんな感じがうれしいかも。

(そのご)変数の事前型チェックはプログラマが好きにできるといいな。 キーワード「運命」を使って決定された運命に縛られた世界を ビルド出来る機能が欲しいかも。

――あたしの夢はいつかプログラミング言語をつくること。 その為にはもっともっと勉強しなくっちゃ。(今日はホントに日記だったな〜)

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09月14日(火)

Lispというとてもきれいなプログラム言語があります。 この言語は構文木そのものの言語構文をもち、データとロジックを等しく扱う とても美しい言語です。

なので「1 + 2」を「(+ 1 2)」 の様に書く書き方は結構好きだったりします それがらみの連想でたどり着いた RPN電卓は技術的な興味と派別に道具として魅力的でした。 ああ、新たな散在のネタ発見ですか!?

逆さまポーランドな電卓が欲しいわ!

HPの電卓は逆ポーランド記法(RPN: Reverse Polish Notation)という独特の式入力方式を使っていることで有名です。 猫最近、この電卓が欲しくてたまらないのです。

逆ポーランド記法

逆ポーランド記法とは、例えば 「1 + 2」の場合、

1 2 +

のように、最初にパラメータを列挙して演算子を一番最後におく、式の書き方です。 (後置記法とも言います)

通常の記法(中記法)逆ポーランド記法Lisp(参考)
13 + 2 13 2 + (+ 13 2)
3 * (1 + 2) 3 1 2 + * または 1 2 + 3 * (* (+ 1 2) 3)
3 + 1 * 2 3 1 2 * + または 1 2 * 3 + (+ 3 (* 1 2))
sin 3.14 3.14 sin (sin 3.14)

という風に、カッコなしでドンドン書けちゃうのものが逆ポーランド記法です。 なんだかとても読みづらいですが、慣れればこっちの方が読みやすい・・という事もないです。

じゃあ、なんでこんな書き方をするかというと、 もちろん逆ポーランド記法の良さがあるからなのですが、 それが何かというと、ちょっと長くなります。(^^;

数式の構文解析

RPN電卓についていろいろ言われることもありますが、 この道具を「ちょっと変わった入力の仕方をする電卓」と捉えるべきでは無い、と猫は思います。 RPN 電卓はどちらかというと「そろばん」にちかい道具です。

そろばんは計算を単純な命令の組み合わせに分解し、その計算結果を記憶する コンピュータですが、RPN電卓もそういった側面が強い道具です。

計算機といってもいろんな考え方があります。 「そろばん」の場合はレジスタ部分のみ請け負いますし、 普通の関数電卓のように式の評価手順までも請け負うモノ、 表計算ソフトのように式自体の評価タイミングまで請け負っちゃうものなど、 いろいろです。

RPN電卓の場合、その式をどのように計算するか、という構文解析は 人が行います。ここが通常の電卓と大きく違うところです。 「え〜っ、構文解析を人がやるって面倒くさくて難しそう」と思うかもしれませんが、 実はそんなことは無いのです。

例えば、

(1 + 2 × 4) / (5 - 6)

を計算するとき、

「えぇっと、 まず 24掛けて1足して5 から 6 を引いたもので割る

と言う風にするでしょう。これが構文解析です。 RPN電卓で計算させるには、これをそのまま入力すれば良いわけです。 そう、こんな風に・・・、

2 4 × 1 + 5 6 - /

つまり!

2(に)4(を)×(かけ)(て)1(を)+()(し、)5(から)6(を)-(ひい)(たもので)/()(る)

ね、普段やっている事でしょう?

ちなみに、コレで解析した構文構造は図で示すとこんな感じです。

(1+2×4)/(5-6) の構文木
(1 + 2 × 4) / (5 - 6) の、構文木

文字列で表すとこんな感じです。(まんまLispですね。)

(/ (+ 1 (* 2 4)) (- 5 6))

と、こうなるととたんに難しく感じてしまうのが人間の不思議なところ。 (ポーランド記法というやつです) なんで逆さにすると、(読むのは大変にしても)普通に掛けてしまうのは、 日本語の言語構造が 逆ポーランド記法にそっくりだからです。

もっと言うならば、あたしたちは学校教育で 中記法に慣らされているので、 これを 構文解析し日本語で表現することに慣れているんです。 なんて言ったって構文解析なしに計算することは出来ませんから。あまりによく使うので 全く意識しなくなっているだけなのです。 (でもこれってプログラマ(機械に構文解析をさせる人)でもなきゃ意識もしないことなのよね。)

と、難しい言い方をしましたが、 普段しゃべってる風に式を読むだけで構文解析が完了するのですから、 RPN電卓を使うときも普段読むように値を入力すれば、 読み終えた時に自動的に答えが出ている訳になります。 これはとっても楽なですよ。 (外国のかたはどうなのかしら)

なぜ、構文解析を人間がやるか

なぜ、構文解析を人間がやるのか、というと、 それは中記法の数式の解析方法はイレギュラーのお化けだからです。

例えば、演算子には優先順位があります。 と、いうことは演算子ごとに式を読む順番が変わるわけです。 そして、演算方法が広がれば広がるほど 「コレが出てきたらこう!」というのをどんどん覚えて行かなければなりません。 組み合わせもねずみ算式に増えていきます(電卓が必要だわ!)

普通の電卓は、演算子の優先順位評価を諦めてしまい、 基本的に1回の二項演算しか出来ない機械になっています。 (だから普通の電卓でちょっと複雑な計算するときには 中間結果をスタックしておく紙が別途必要になったりするわけですよ(^^;) )

逆に関数電卓は構文解析まで請け負ってくれるため、楽っていえば楽なのですが、 図形要素の強い数式のこと、 だんだんボタンを押すだけで式通りに入力していくのがつらくなってきます。 で、「sinを計算するときだけ [9]、[sin]と押す」と言った その計算機ローカルなルールが出来ちゃうわけです。 (正直、今のご時世このレベルの計算はパソコンでやっちゃいたいですね)

コレではなんだか帯に短しタスキに長しなのですが、 そんなところにピッタリなのが RPN電卓。 日常のちょっとした計算でも、人間が苦手な「スタック的に記憶を保持すること」を やってくれるので、とても楽ちんぽんに計算ができます。 (スタックを覚えてくれるだけで計算がとっても楽で間違いにくくなるのは、そろばんの原理ですね)

また、使う人がその数式をどういう風に分解するのかを知っていれば 複雑な計算も出来てしまう柔軟性もあります。 構文解析までをヒトが請け負うため、計算という処理そのものの主導権を ヒトが握れるのも魅力的です。

RPN電卓の実装

このポーランド記法という「インターフェイス」と スタッグという実装概念にとても良くなじむのです。

逆ポーランド記法では、数字を入力したものをスタッグに積み、 演算子が入力されたとき、スタッグから二つだけ(2項演算の場合)取り出して 計算を行い、その結果をスタッグに入れる、、 という単純なアルゴリズムで実装可能です。

計算機といってもいろんな考え方があります。 例えば「そろばん」のようにレジスタ部分のみ請け負うモノや、 普通の関数電卓のように式の評価手順までも請け負うモノ、 表計算ソフトのように式自体の評価タイミングまで請け負っちゃうものなど、 いろいろです。

RPN電卓は逆ポーランド記法を使うことで構文解析を人間に押しつつ、 値の保持は電卓側で請け負うことが出来るわけですが(中記法だとムリ)、 だからといってRPN記法はこの電卓のインターフェイスにすぎません。

RPN電卓はこの記法を使って操る「電卓」がスタックというメモリ構造を持っていることを 強く意識することを要求します。 単に 逆ポーランド記法を実装するための手段として スタックを使うのではなく、 スタックの管理すら人にゆだねることで柔軟な運用を可能にしています。

例えば一番上のスタックは使っても消えない特別なスタックで、 同じ値を何回も使う様な計算ではココを上手く使います。

RPNの実装におけるスタックについてはこちらが 本当に良くまとまっていますので、ご覧ください。(と、手抜きをしちゃう(^^;) )

RPN電卓の魅力

と、いう風にRPN電卓は 電卓に計算をまるっきり任せてしまう普通の関数電卓や、 計算結果に計算をかけるのがめんどくさい普通の電卓とちがい、 シンプルな道具でありながら複雑な計算も難なくこなせる、 道具性の良さが魅力なんです。

RPN電卓のいいところは「構文解析さえすれば後は電卓の役目です」という ハッキリした役割分担があるところです。 記憶と演算は電卓の役目、構文解析は人間の役目というのは、 人間とコンピュータの向き・不向きを考えるととても理にかなっています。

また、hpのRPN電卓は4段のスタックを持っている、という構造を意識させるのも 道具に徹しています。 決して「人間に変わって俺様が計算してやるぜっ!」な傲慢さもなく、 単に道具として振る舞うには 仕組みが見えることが大切です。 仕組みが見えるから直感的に扱えるのであり、 気軽な道具たり得るのです。

魅惑のRPN電卓は絶滅危惧種

そんなこんなで魅力たっぷりなRPN電卓ですが、 取っつきの悪さからかユーザが増えず、実は絶滅危惧種です。(TT)

RPN電卓と言えば ヒューレット・パッカード電卓なのですが、 hpの電卓は細々と続けられているモノの既に絶滅寸前。 日本では取り扱っていないというかなり寂しい状況です。

猫は コンピュータ屋さん用の「基数一発変換(2信 8進 10進 16進)」「論理演算可能」な HP 16Cというのが欲しいのですが、当然これも絶版で(TT) 猫は寂しくエミュレータを弄びながら、 いつか手に入れる日を夢見ています。・・・というか欲しいにゃあ。

ちなみに Windowsで手軽に使える RPN電卓としてはこんなのがあります。 興味があれば使ってみてくださいませませ。

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09月06日(月)

今は会社に Expert Mouse 5をおいている訳ですが、 そうなると土日はExpert Mouse をさわれない訳でして。 2日のエキパマ絶ちの後のExpert Mouse はとても気持ちよくって、 そのたびに猫は「生きているっていいにゃあ・・」と思うのです。

と、いう前置きとは関係なく、 孫正義さんネタなのです。言い古されたことで毒にも薬にもならないのですが、 しみじみ実感してしまったことはしょうがないということで。

(孫)正義は我にあり

猫は実はODNのユーザだったりするのですが、 先日ソフトバンクに(事実上の)買収をされたのは知っての通りです。

Yahoo! BBの開始当時のずさんな開通管理に苦しんだ人を生で見ていた 猫としては死んでもソフトバンクにインフラを預けたくはありません。 ソフトバンクは体質として顧客ないがしろを「やむを得ない」と思っているのでは、 と猫は確信しています。

さて、ちまたで話題の孫正義名義の 携帯電話2GHz帯をくださいと 総務省にパブリックコメントを出そうメールが 猫の家にも届いたのですが、 その文面を見るに「なんて非常識なんだろう」と思うと同時に 「孫正義という人って、やっぱり一般的な日本人じゃないのよねぇ」 と関心してしまいました。

この人は多分「絶対的な正義がある」と心の底から信じているんじゃ無いでしょうか。

絶対正義の名の下に

名前からして「正義」な彼は自らの正義について並々ならぬ自信を持っていると聞きます。

たいていの日本人は「正義」が相対的なことを幼いころから知っています。 我々日本人の読む(視る)物語は大抵において勧善懲悪ではないからです。 だから、「自分の正義の方がより有益だ」と思う傲慢な人でも フツーはそれが他人にとっての正義ではないということは理解しています。 (理解した上で踏みにじるのです)

が、彼の場合は「みんなの正義」というものがあって、 それを遮るのは「個人のエゴ」である、私はみんなの正義を実践しているだけだ、 と、心の底から思っているフシがあります。

結局ある意味彼の言っていることは正しいのでしょう。 実際、ブロードバンドの普及・低価格化は彼とYahoo! BBでのおかげです。 でも、その為に個人情報500円、詐欺まがいの加入勧誘、 法人用BBフォンの未完成なままのサービス開始宣言、などなど、 やっていることはとんでも無いです。

きっと彼の目には大の虫小の虫、なのでしょうけど。

・・・なぁんてことを、しみじみ思ってしまうメールでしたとさ。 (はやくプロバイダかえなくっちゃ)

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