猫の小部屋 - ねこのこべや -

猫日誌 -2004-


2004年06月

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06月30日(水)

猫はあんまりカードゲームをやりません。

その手の友人が多いので、あれやこれやらといろいろ進められて ためしにやってみる機会は多いのですが、 相性なんだか、想像力が無いだけなんだか、とにかく一向にハマりません。

でも、最近システム開発をしていると、やけにカードゲームに似てるよねぇ、 と感じます。 いろんなスキルの開発者をデッキにいれて、状況に応じて適切にだして、 プロジェクトを成功させる。 今後の展開を考えて、手持ちの開発者(フダ)を 切って良いものやらと悩むことも、 単に高レベルの開発者を持っていても使い方を誤れば全然効果を発揮しないことも、 低レベルの開発者を上手にコンボすればかなりの開発力を得られることも、 なんだかまんまカードゲームよねぇ、と思います。

で、今の状況はというと、「光の御封剣」を使われてしまったような状況かしら・・、 仕様が降りてこないので3ターンほど動けません。(TT)

オブジェクト指向≠オブジェクト指向プログラミング

オブジェクト指向分析設計(OOAD:Object Oriented Analysis and Design) とオブジェクト指向プログラミング(OOP:Object Oriented Programming)は別ものです。 例えて言うなら、「ラーメン業界」と「チキンラーメン」の関係と言ったらよいでしょうか、 両者は似ていて関係しているものの守備範囲や階層が決定的に違います。

例えば、オブジェクト指向といえば・・・で、よく引っ張り出される「継承」ですが、 これは基本的にはOOP上での概念であり、 分析・設計では逆矢印にして「汎化」という風に捉えます。

オブジェクト指向分析では、システム周辺(開発するシステムだけでなく、利用者なども含めるのです) を「分類(Classing)」します。このとき、 分類を汎化する、、という概念が生じます。 例えば、「自動車」と「オート三輪」は「ガソリン式自立駆動車両」なぁんて汎用的な 分類にすることができます。

「継承」はそれの実装手段です。 「ガソリン式自立駆動車両」の持っている振る舞い(メソッド)と状態(フィールド)を 「自動車」も「オート三輪」も引き継ぎます。

だからはっきり言って「オブジェクト指向」の理解と 「オブジェクト指向プログラミング」の理解は別物です。 例えば、メンバフィールド(メンバ変数)は、オブジェクト指向上では、必ず「非公開(private)」ですが、 オブジェクト指向プログラミング言語(OOPL)はこれのアクセスレベルを自在に設定できるものが大多数です。

例えば、こんな感じです。

OO上の概念概要OOPLでのよくある実装
汎化 オブジェクトの分類(Class)をより広い概念に広げる メソッド・フィールドの「継承」
メッセージ送信 他のオブジェクトに対し、責務遂行を要求する メンバ関数の呼び出し

継承を使いこなすには、オーバーライド(&ポリモーフィニズム)とオーバロードの 知識が要るようになります。 でも、これらはオブジェクト指向の本質ではありません。

猫的には、オブジェクト指向関連技術の習得の難しさって ここらへんの切り分けを余り考えないで説明しちゃうからなんじゃないかな、と思ってます。 まず、オブジェクト指向の基本的な概念を教える、 そして、それをどう実装に落とし込むかという技術を教える。 そうすれば、一時に覚えることを減らせるはずです。

オブジェクト指向は複雑さを扱う技術です。

そしてOOに限らず「分析」と「設計」は、上流スキルではない、一番基本のスキルです。 (だって、作りたいものがどんなものか分析して、それを設計しなきゃ 実装できるわけないじゃない。)

OOPLは多機能でいろいろできるけれど、はっきり言ってムダに複雑なだけで、 それ単体ではありがたみのかけらもありません。

だって、オブジェクト指向は分析・設計にこそ威力を発揮して、 それをそのまま実装できるってなんて便利なのかしらっ! という一点のみが、OOPLの唯一かつ絶対的なありがたみだから。 OOADを知らずしてOOPだけを習得するのは、 「オンラインに繋がないオンラインゲーム」とか、 「タコの入っていないたこ焼き」と一緒です。

上手い、下手は二の次です。まずは分析・設計から始めましょう。 OOADは複雑なシステムほど威力を発揮します。そうして出来た設計を プログラミングするときに、OOPLを使うとなんて楽なんだろう・・・というのが、 有るべき姿かしら、と思います。

ほんとうは・・・

なんでこんなのを書いたかというと、 会社の配った「スキル判定シート」の 「設計技術」に「オブジェクト指向プログラミング」 なぁんて書いてあったからでして。(^^;

紛いなりにもアウトソーシングを名乗っているのに こんなスキル判定シートを出してるようじゃ、 猫さん情けなくって涙が出てくるわっ。・・・という赤裸々な気持ちをぶつけたものです。へみぃ。

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06月28日(月)

こんにちは、 昨日ようやく 愛しのThinkPad s30さんを復活させることができた三猫です。 たかがHDD交換で2週間も時間をかけてしまうとは思っていなかったのですが、 Windows Updateで半日もっていかれるわ、Visual Studio.NETのインストールはコケるわで、 週末が綺麗につぶれてしまいました。

なんといっても、インストールの待ち時間に うとうとと寝落ちしてしまい、 アプリケーションのインストールが遅々として進まない、 猫が一番わるいわけなんですが。

で、眠らないようにとPSOやりながらインストールしてたら、 PSOともども寝落ちしてしまった、というのは、内緒ですよ。

危しっ! 快適マークアップ生活

キーボードと言うデバイスは、文字列を入力することしか出来ません。 文字列、つまり何処まで言っても一直線の列であり、1次元的データの羅列にすぎません。

これはそもそも「言葉」自身が声というシリアルな伝達手段上で発達したため、 ベクターな性質を持っているからです。 視覚ベースで言葉が誕生したならば、もっと2次元な(UMLのような) 言語になっていたでしょうし、 もしヒトが複数の音を同時に発声できる生き物だったら、 言葉はパラレルなものになっていたかも・・。

結果として人間の言葉はシンプルな実装になり、いろんな媒体上に載せられる柔軟性を獲得したのですが、 でもまぁ、人間の知覚は「図」との相性のほうがよろしいのものでして、 (「図」と言う概念は2次元な言葉とも言えるわけで) 単なる文字の順列で構成されるはずの「文章」でも 改行なしの文字列で書かれると、とても見難く感じます。

と、ちょっと話が打線気味ですが、 ヒトはテキストファイル上 文字データの羅列よりも DTPで適切にレイアウトした文章の方が圧倒的によみやすい、ということです。 (ふぃ、戻ってこれたわ・・)

では、本質的にベクターなデータである文章を 2次元な空間に配置することで、 どんな「意味」を付与させるのか、というのが気になります。 (無意味であるなら、見易さに差が生じるはずないです) この問いに対して「それは文書構造である」と答えたのが現在のWebページだったりします。

だからHTMLでは、テキストに対し文書構造をマークアップし、 そのマークアップした文書構造に対して見栄えを設定する・・という仕組みになっています。

文字列に対して「ここから ここまで が、○○という文書構造」と言う風に 指定していくのがHTMLです。 だからHTMLは必ず 文書構造の開始点を示す「開始タグ(Start Tag)」終了点を示す「終了タグ(End Tag)」 文書構造自身の属性を示す「属性(Attribute)」からなる、文書構造を「要素(Element)」として、 それがネストされる構造になる、シンプルな文法を持っています。

でもでも、HTMLにはもう一つ重要な特徴があって、 それは人間がHTMLのソースコードを編集することを前提としていることです。

だから、マークアップランゲージとしての文法の一貫性よりも、 人間が如何に楽に記述できるかの方に重点を置いてつくられていて、 充実した省略記法を持っています。 この精神を受け継いだ(のかしら?)現行のブラウザも、 多少の誤記術自分で治しちゃって表示してしまうようになっています。 だから今のハイパーテキストの世界は、温くも間違いだらけ。 猫はそんなぬるま湯ワールドだからこそ、Webがこんなに発展したのではないかしら、と思っています。

でも、これからは機械がHTML(だけじゃないけど)を読む時代、 文法が間違っていてもOKです、では困ります・・というのが世の中の流れ。 それ自体は猫もいい傾向ね、と思っていたのですが、 最近ちょっと、やってられないわっ、な自体に遭遇して、ちょっと考えるところがあるのです。

Web Matrix先生厳しすぎです(<_>)

最近ASP.NET WebMatrix Projectで Webフォーム (HTML風な文法で書く、ASP.NETのUIデザイン)を作成しているのですが、 この子、いちいち文法にうるさいのです。

この子のデザイナ(HTMLドキュメントをビジュアルに表示・編集するモード)は、 XHTMLパーサを利用して作られているみたいで、 デザイン表示にするだけで、ちょっとしたマークアップミスも勝手に直してしまいます。 が、これが意図する文書構造でなかったりするわけで、 結局直した箇所を探すのがとても大変だったりするのです。

そもそも、作りかけのドキュメントに対して、表示モードを切り替えただけで、 勝手に編集をかけてしまう(しかもHTMLエディタモードに戻しても、 勝手に修正したソースが表示されてしまう) そんな作りに激しく疑問を覚えます。 (でも、MSの社員のプライベートな趣味の産物がWebMatrixだから、 HTMLパーサを組むわけにもいかず、XHTMLパーサを使ったら、こんなつくりになっちゃった・・・、 という事情は解ります。)
それ以上に、ヒトってのは、どんなにミスしないようにしても、 ミスするんだわぁ、と言うことを身にしみました。

多分このアプローチの正解は、 リアルタイムにエラーを検出して勝手に修正を欠けるのではなく、 人間が 明示的に[文法のチェック]を実行して、エラー内容を表示するだけ、 というものでしょう。
人の意図を推し量れない以上、 これらのツールは「やろうとしたこと」と「やったことの差分」を指摘するのは不可能で、 結果、「文法的に破綻している箇所」を指摘するのみになります。 だから人は文法エラーを元に探偵バリの推理能力を発揮する必要があります。 (これをデバッグという・・) でも、これって、一般の方には敷居が高すぎますよね。

プログラマ(というかシステムエンジニア)的視点からみると、 HTMLの現状がもつ奔放さは 鬼子以外のなにものでもないのは解ります。 文法的に正しいことを、作成者に保障してもらったほうが、楽であるし、 第一誤りを「こうなんじゃない?」と、勝手に修正することは、 作者の意図をないがしろにすることにも繋がりかねません。

でも、シンプルな文法と厳密な文法解釈が売りのXHTMLは はっきりいってとても書きにくく感じます。

この厳密さを人が守るのは困難で、 このレベルですと、なにか別のソースファイルから厳密なXHTML文書を作り出す方策が欲しいです。 これは今の肥大化したHTMLの仕様ではご無体なお話でして、 使える要素を絞り、文書の挿入先を限定することで、 使いやすくしたのがBlogツールやWikiなのだろうけど。 でも、BlogやWikiはHTMLを利用したコンテンツだけれど、HTMLの後継じゃあないのよねぇ。

便利って重いっ!

話が纏まらなくなってきたわ・・ということで仕切りなおし。

最近とみに思うのは、厳密な文法チェックって、機械にチェックしてもらわないとつらいわねっ、と言うこと。

もともとコンパイルやインタプリタ実行が前提のプログラム言語では それも鬱陶しくなかったのですが、 ただのドキュメントのはずのHTMLでこれをやられると、想像以上に鬱陶しい。 単に「刷り込み」の話だとはおもうのだけれど、 「テキストファイルをマークアップ」しているつもりの猫にとっては、 許せない一線を越えてしまったような感じがするのです。

もちろん、お仕事ではキチンとしたHTMLを書きます。 たとえ「タグ打ち」ベースでも、HTML Lintや しっかりとしたHTMLエディタを使って文法違反の無いように作成しています。 が、この猫日誌のようなお気軽お手軽なコンテンツを書くのに いちいちHTMLエディタを立ち上げる気にどうしてもなれない猫は いつもテキストエディタでタカタカッとタイピングしてます。

便利なはずなのに、一体なにが鬱陶しく感じるのか・・・、 うーん、例えて言うなら、子離れしない親? ――文法チェックと言う側面上仕方ないのですが、 道具というより、「教えてあげる」「世話してやってる」な押し付けがましさが 鬱陶しいのよねぇ。 なんか「わかってるわよっ、もうっ」的苛立ちを感じることもしばしばです。

テーブルレイアウトを使わない、純粋な意味でのハイパーテキストを作るのなら、 CSSとシンプルなHTMLは十分 ヒトの管理能力内です。 軽量という快適さが、ワープロを使う気になれないときでも、 気軽に文章を書かせてくれます。 これこそHTMLの魅力だと猫は思うのですが、 便利すぎるHTMLエディタはそういった快適さを損なってしまう、ここが難しいとこなのだわ、と思います。

ラフに書きたい、でも文法的にも正しいものが書きたい・・こういう矛盾を解決するために、 それじゃ、どんなツールが欲しいの、と聞かれるとちょっと困ってしまいますが、 とりあえず、猫的には、 現在カーソルがいる要素がわかるテキストエディタかなぁ、と思うのです。

今のカーソル位置がどの要素で、その要素がまだ閉じられていないのよ、 というのが、視覚的に直感できるインターフェイスをもった、 単なるテキストエディタ。

100│    │<div>
101│  ┏├─<p>
102│  p │    今のカーソル位置がどの要素で、
103│  ┃│    その要素がまだ閉じられていないのよ、
104│  ┃│    というのが、視覚的に直感でき
105│─╂┼─────────────────────
106│  ×│
107│    │</div>

インターフェイスの肝はカーソルが居る要素は「間違っていても良い」という 前提で動くということ。 また、インライン要素は編集中要素表示からはずしてくれると なお嬉し、・・・というのを夢見ます。

そういうのなら、ちょっとほしいにゃあ、と思うのですが、 実は猫が知らないだけでもう世の中にあるのかもしれませんし、 使ってみると案外うっとおしいのかも知れません。

バランスってのはむずかしいです。

結構便利なHTMLエディタ

メモ的心理負担で使えるHTMLエディタの話は置いといて、 ちゃんとしたHTMLを手書きで書くのにとても便利で 気に入っているツールがあります。

その名もHTML Project 2

これはHTMLをプロジェクト管理するよ、という至ってプログラマ的視点のツールなのですが、 非常に柔軟なカスタマイズができることや、 HTMLの文法エラーをHTML要素のツリービュー上で見せてくれる点など、 使っていて痒いところに手が届く感のある、 とてもお勧めなツールです。

確かに、「さぁ、HTML文書を書こうっ!」と言うときの心理的抵抗感こそ強いものの、 「HTMLの文法チェックをしようっ!」というときのお気軽さがとても快適なわけでして、 猫的には、秀丸とかでダッダッダッと書いちゃった後で、 HTML Project 2 で開きなおして、[階層]表示で文法エラーを確認して、 ササッと直す・・なぁんて使い方をしています。

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06月22日(火)

ご無沙汰しました。三猫です。

しばらく更新が無かったのですが、 別に仕事が忙しかったわけではなく、 猫の愛用ノートPC ThinkPad s30が 壊れてしまったためです。

そろそろスペック的につらくなったs30ではありますが、 10.5インチ液晶のジャストB4サイズで、ちゃんとしたキーボードが付いていて、 バッテリーが良く持つ・・・という「モバイル書き書きノート」の条件を満たしている 機種は他には無いため、テクテク修理中です。

しかし、壊れてみるとしみじみ痛感するのだけれど、 ホンット、ノートPCに依存した生活を送っていたのねぇ・・。

地雷を踏みたいお年頃

というわけで久しぶりの更新です。 タラタラといつもどおりの雑文を書き流しても お天道様が許しても読者様は許すめぇっ・・・ってな感じで(?)、 なにかネタを・・ネタを・・・と探してきました。

さて、そのネタとは、サンワサプライの誇る自社製トラックボール Streamです。

SANWA SUPPLY Stream
SANWA SUPPLY Stream

Streamは、サンワサプライ2機目の自社開発オプティカルトラックボールです。 ボタン数などを考えるとお買い得なお値段と、(といってもQBallが同じ価格帯でありますが) 握ってみた感じ結構良さそうなフォルム。40mm径の十分な大きさを持つボールはまわしてみるとスムースで、 ボタンの押し心地がちょっと残念なのだけれど、 店頭デモを触ってみる限りなかなかご機嫌な印象を受けます。

でもこのトラックボール、2chトラックボールスレでも堂々の「このスレ的地雷トラックボール」に認定されてます。 なぜか。それは まっすぐボールを回してもカーソルはクネクネと動作してしまう、 人外な操作性が魅力(?)の とんでもトラックボールだからです。

実はこのStream、光学センサがボールの横っ腹を見ているという致命的な構造欠陥があるのです。

光学センサの位置
光学センサの位置

ボールの(仮想)接地点ではなく横っ腹をみるとなぜ「問題」かというと、

  1. まっすぐボールを転がしても、ボール上の点の動きは円弧を描いてしまう
  2. 回転軸に近い点を見ることになるので、ボール上の点の移動距離が小さくなってしまう

からなのです。

Streamの構造欠陥
Streamの構造欠陥

そんな欠陥については、光学センサを理想位置に無理やり移動させる改造レポートなど、 Webでは激しく既出でして、猫も事前に知ってはいたのですが、 どれくらいひどいのかという好奇心は日々つのり(ヒトはこれを怖いもの見たさという・・・)、 ついに我慢できずに昼休みにオフィスデポで買ってしまいました。(^^;

で、実際に使ってみての感想はといいますと、

「Streamがこんなに酷いとしったとき、あたしは笑ったよ」
「お笑いになった?」
「だってそうじゃないか、あたしは 真っ当なサプライメーカを知っているんだよ。」

なぁんて、台詞が思わず頭に浮かんでしまいました。 えぇ、「こうしていても、カーソルの震えが止まりません。」ってやつです。

実際X軸方向の入力は それなりに大丈夫なのですが、Y軸方向の挙動はまさに致命的。 ゆっくり動かせばカクンカクンとカーソルがドングリのように転がりだします。 その行く先は操作者にさえわかりません。

またX軸とY軸の感度が違うのも困りモノで、もう何処を同操作すれば思い通りに動かせるのか 検討すらつきません。 あまりにもアメージングでショッキングな操作感に仕事中だというのに猫はおもわず吹き出してしまいました。(^^;

猫はっきり言ってこのトラックボールはリコール対象だと思います。

初めてのトラックボールということで、ちょっと考えれば当たり前のことすら見落としてしまったのでしょう。 こうして市場に並んでしまった様を見るに、欠陥に気付いたときにはとき既に遅し、 型を起こしてしまった後だったのかも・・・なぁんて思っていましたが、 本機の欠陥をそのままに無線化したStream R なんてのをリリースしているあたり、これは確信犯かホントにまだ原因がわからないのか ・・・どちらにしても怖い話です。

ひとつだけ、このトラックボールについて利点を見出すとしたら、 トラックボールに転びたての頃のあのおぼつか無さを いつでも体験できるということです。

ボールを転がしても思い通りに操作できない。 そんな懐かしい感触をどんなに使い込んでもキープできる。 いつまでたっても使いこなせないこのトラックボールさえあれば、 誰でもずっとトラックボール初心者でいられます。

そんな素敵なStreamをあなたも一台是非買ってください・・・とは言えないわ。

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06月10日(木)

先日、6月8日は実に122年ぶりの金星の太陽面通過(金星による日食)が観測されました。

猫も天気が良かったら会社をズル休みしようと、心に固く誓っていたのですが、 あいにくのお天気で、結局仕事をしてしまいました。 なので、猫は肉眼で(・・みたら失明しちゃいますが)この現象をみることは出来なかったのですが、 天文ファンにとってはこの悪天候もなんのその、 ウェブ上に太陽面通過の写真が溢れかえっています。

アストロアーツさんの投稿写真 (1234) なんかを見ていると、 前周期、前々周期のときは観測機器をもって冒険家・天文学者が全世界を飛んだのに対し、 今回は全世界に住む人がその場で観測してその情報をウェブで共有するという状況に、 しみじみ「ああ、21世紀なのねっ!」と実感します。

そんな写真をみながら一人興奮していた猫でしたが一つの気になるコメントが、 猫の思考を天文ショーから180°違うところへ持っていってしまったのでした。

「そのときキャパの手は震えていたが、手ぶれ補正のおかげでクリアな写真が取れた。」

アストロアーツの投稿写真は、学術的な資料っぽいアプローチから、「作品」ぽいアプローチまで さまざまです。一つの現象も見る人が変われば呼び起こされる感動も違うのね。 一瞬を切り取るという行為でこういった「世界」に対する撮影者の「認識」を愉しめるのも 写真趣味の醍醐味です。

そんな中で、投稿特集の4つめの、徳光さんの作品は、 沈み行くゆがんだ夕日に通過中の金星が美しく拡散する素晴らしい写真でした。 「ん〜っ、やるな、徳光さん」(もちろん面識なし) と、写真を愉しむ猫をさらに驚かせたのは そんな徳光さんのコメントでした。

8日早朝、晴れ間を求めて北へ飛びました。そのかいあって日本海に沈む太陽と金星の撮影に成功しました。すばらしい光景をまえにシャッターを押す手が振るえましたが、スタビライザー付レンズがその振るえを止めてくれてドラマチックな光景をモノにすることができました。

大気のイタズラで滴のように長く伸びた金星を見て大満足の旅でした。

(強調は猫による)

手ぶれ補正レンズ。ここ10年ですっかり普及したテクノロジですが、 その登場時に、田中長徳さんという写真機家(写真家でもあります(^^;) )がこんな感じのコメントをしていたのを思い出したからです。

「そのとき、キャパの手は震えていたが、 手ぶれ補正機能はその瞬間をクリアに捉えた」 じゃなんだか間抜けです。

カメラマン「ロバート・キャパ」の有名な写真に「ノルマンディ上陸作戦」の写真があります。 この写真は プロカメラマンらしくなくブレブレで、 写真には「そのとき、キャパの手は震えていた」とのキャプションが着いていたそうです。 このブレが戦場でのキャパの認識を見る人に伝え、結果非常に心揺さぶられる写真になったと評されます。

と、ようやく話が繋がったのですが、「手ぶれ補正」というテクノロジが写真を変えるという揶揄がされて ほぼ10年、まったく心構えが無い状態で いきなり「実際にあったよ」と、さらっと伝えられたことに、 猫はビックリドッキリしてしまいました。

自動化には標準化です。だから自動化されればされるほど「一般的に良いといわれる写真」に 近づくけれど、撮影者の認識は次第に反映されにくくなると思います。 またデジタルカメラはその場で写真を見れるため、 撮影時の認識がまだ「主観」のうちにその撮影結果を「評価」してしまうため、 カメラとカメラマン、そして被写体の織り成す世界を外側から見る、そういった写真が「出来てしまう」 ことを阻害します。(一般にカメラマンは、「カメラマンの居ない世界」を撮りたがるものです。)

でも、この徳永さんの写真については、猫は素直に手ぶれ補正機能がついていて本当によかったと 思えました。写真を見て「いいわ〜っ」と思った後にコメントを読んだから尚更そう思えます。

テクノロジの進歩ではよく言われることですが進歩することが良いこととは限らない。 失われるものもあるのよね、という考えを猫は心の奥に仕舞いたのですが、 考え直させられました。

だって、自動化されたカメラは、撮影者と世界を平等に客観化するんですもの。

キャパの写真に写っていたのは、キャパの驚きであって、ノルマンディ上陸の風景は 副産物にすぎません。 でもこの写真を通して、「美しい光景に目を奪われた徳永さん」と、 「徳永さんの目を奪った美しい光景」を両方を猫は愉しむことが出来ました。

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06月09日(水)

久しぶりに日記を書いてみようと思いました。

多分すぐ忘れてしまう、私の思考を書き留めて起きたいな、と思ったからで だからこれは、忘れてしまった未来の私へのお手紙です。 というわけで、今回は私向けに・・・。

それでは、『拝啓、未来の私さま。・・・』

歯の殻

長らく歯医者通いの猫ですが、生まれて初めて神経を抜きました。

「あ〜、虫歯がひどかったのね」という気持ちよりも感慨深かったのは、 私の体の中に私の体の死体があって、その死体が死んでなお私のために働いてくれるという そんな違和感です。

歯も勿論生きています。「モノを噛む」という役目を果たすため 硬い石のような外観をしていますが、中には神経も血液もながれ、 常に「歯」の部分を作っています。 (ちょうど貝と貝殻のような関係みたいな。)

「神経を抜いた」とは言いますが、ホントのところは歯を殺したということ。 そして私の体には死んでしまった歯の本体が作ってくれた「歯殻」が付いたままになっている という状態です。

この歯の殻は、もちろん死んでいますのであとは壊れる一方です。 割れれば割れたっきり、ひびが入ればそのまんま、軽い虫歯も勿論治りません。 だから、割れたり壊れたりしないように歯の殻の根っこだけ残して、 歯の本体が居たところにバイキンが巣食わないように薬をつめて、 補強剤を入れて、外に銀のかぶせ物を施します。

そうして出来た歯は、もう私の歯ではありません。 フック船長の鍵爪の腕と同じように、私の体の一部だけれど 私が作ったものではない、そういった類の加工品です。

大事な大事な置きみやげ

歯科医師さんと歯科技工士さんが授けてくれた私の新しい歯は、 大事に扱ってあげられなかった 今はもう居ない「歯」の残してくれた 「歯の殻」を加工して作られました。

猫の体ではないので、熱力学の第二法則に基づいて壊れていくのでしょう。 でも、大事に大事にあつかって、この新しい体の部品を使っていこうと思うのです。

今はもう居ない、私の一部に感謝を込めて。

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06月04日(金)

最近なんだか暑くなってきました。いよいよ熱暴走の季節です。 こうも暑くなると職場の向かいの席の Pentium4 2.6GHzマシンの排気する 熱風がとてもうっとおしく、思わず叩き壊したい衝動に駆られてしまいます。

これだけ廃熱が大きくなると、大げさでなく「環境問題」になりそうな気がします。 どうにかならないものかしらん。

レビューの舞台裏

ようやく Expert Mouse 7のレビューが書き終わりました。 本当に、本当に難産で、いっそのこと予告リンクを外してしまって そ知らぬ顔で後回しにしてしまおうかと思いましたが、 多分そうすると永遠に書き終わることは無さそうですので、 えぃ、やっ、とばかり 仕上げました。

何でこうも難しかったかというと、猫がExpert Mouse 5が大好きで、 その「大好き」色眼鏡の色がなかなか薄くならなかったからです。

7代目が失ったものと築いたもの

人というのは「失われたもの」と「得られたもの」が有ったとき、 「失われたもの」の方を大きく評価する生き物なんだそうです。(と、今月の日経サイエンスに書いてあったので受け売りです。) これは確かに実感です。

今回の Expert Mouse は Version UP ではなくって 代替わり、 まったく別のトラックボールが「Expert Mouse」の名を襲名しましたっ、 と言う感じで、先代が偉大だっただけに、 同じ名前をもつ 7代目をついつい厳しい目で見てしまいます。

かなりの暴言なので、レビュー中には書かなかったのですが、 Expert Mouse 7を猫は、「なぁんだ、Kensington版 CT-100だわ、コレ」と、思ってしまいました。 形は確かにExpert Mouseしてるのですが、中身は CT-100と同じランク。 「好みで形を選べます」以上の差異を認められませんでした。

猫にとっての Expert Mouse は カリスマであって、 これは本文中にもちらっと書いたのだけれど、 「"Expert Mouse"と言う名のトラックボール」ではなくって、 「"Expert Mouse"という種類の入力機器」と感じさせる何かがあります。 でも 7 にはこのカリスマ図式が当て嵌らないんですね。

これは多分に猫本人の心理的なものも強いと思うのですが、 それを除外しても、「格」のようなものが、薄れた気がするのです。

Expert Mouse 5は確かに最高級トラックボールでした。 この「最高級」とは、「Kensingtonの中」でとか「Microsoftの中で一番」とかの相対基準ではなく、 絶対的な基準での「最高級」。だから、他のトラックボールとはスペック比較の対象になり得ませんでしたし、 そういう「モノ」を是非手元において使いたいという衝動が、トラックボールへの抵抗感を 上回ったので、この道に踏み込んでしまったわけです。

で、Expert Mouse 7はというと、そのような凄みを感じることはありません。 便利ですし、気持ちよいし、作りも良いし。大変良いトラックボールなのですが、そこで止まってしまう感を受けます。 猫の実感では「フラッグシップ」というより「ハイエンド」なのよね、という感じ。 (「フラッグシップ」は最高の性能・・というわけではないのだけれど、紛れも無く最高の船なのですよ。 と、言いつつ軍艦関係は良くわからないので、実は猫もカメラ的感覚で語っているだけなんです(^^;) )

ただ老成された先代と まだ襲名したばかりの若造を比べて「格」が無いというのは、 時期尚早かな、とも思うので、それをたてに、Expert Mouse 7を糾弾するのもどうかしら、とも思うのですが。

ただ、7にはExpert Mouseの精神みたいなものは流れているとは思います。

古い土台に建て増し、建て増しで増強を続けると、 いくら良い土台であっても、最初にあった「製品の精神」は次第に失われていきます。 Expert Mouse Pro を手に取ると、 Expert Mouse 5 の完全上位互換なのに「なんか違う」と思ってしまう感覚は、 Proが拡張系の後継機だからでしょう。

7の「精神だけ引き継いで中身ははすべて新しい」は 製品の血脈を保つ正しい選択だと思います。 残念ながら 7 では、まだ掲げた「精神」に「中身」が追いついていない点が多いため、 素直に納得できないのですけど、その先に続く未来のExpert Mouseへの道は示せたかな? と。

かっこよく言うならば、「種はまかれた、あとは育てるのみ」かしら。

で、正直なところは・・・

もっと正直に言うと、ベアリングの悦楽的ゴロゴロ感を返してくださいです。 Expert Mouseのアイデンティティって猫は絶対これだと思うのです。 理屈をつけて「格」がどうの言ってみても、もし 7 がベアリングのゴロゴロ感を継承していたら、 猫と言うヤツはアバタもエクボで何もかも許せてしまったに違いないのです。

Expert Mouse 7に対してこういうことは、 キリンに向かって「なんで首が長いのよっ! 伸ばすんだったら鼻を伸ばしなさいっ!!」というような 理不尽なことだとは解っています。 でも、でも、猫のこころは、 『そうよ〜♪母さんも長いのよ〜♪』と、子一時間くらい問い詰めたい気持ちでいっぱいです。

・・・・とまぁ、複雑で繊細な感情渦巻く猫としては、 レビューを書くのがとっても、とっても、難しかったです。 もし、初めての「Expert Mouse」が 7 だったら、きっとべた褒めだったに違いありません。 そう考えると、頑張っては見たもののずいぶん辛口レビューになってしまったわぁと思いますが、 ここらへんが猫の限界ということで。

Expret Mouse 8が出た辺りに、もう一度書き直そうかしらん。

Windows Updateの憂鬱

そんなこんなで、欠点は隠さないけど それで良さを減算しないように、 ないセンスを絞りきってレビューを書き上げた猫ですが、 「ふぃ〜っ、終わった。せっかくだから、赤い方を選ぶぜっ!、じゃなかった、Windows Updateでもかけて 寝ようかにゃ〜♪」 と、Windows Updateを実行したのですが、 猫の愛機「Dreamcast2000」号はまともに動かなくなってしまいました。

な、なんですとっ! と、状況を調べるに、SystemプロセスのCPU占有率がずっと100%になっているのです。 ・・これは・・、とネットを調べると、 あった、MS04-011修正パッチを当てると Windows2000 Baseのマシンで動かなくなる。 これですね。

で、MSの言うとおりにいろいろやってみたのですが、復旧せず。 結局OSの修復セットアップでお茶を濁したのですが、うーん、これってどうなんでしょ。

猫はPCを何台も持っていますし、それなりの知識もあります。 でもでも、普通の家庭で普通のお父さんが普通にWindows Updateしてこういう状況になったら・・・、 なぁんて、MSの人は考えないのかしら。

ひさしぶりに「やられた〜〜っ!!」と言った感じのトラブルでした。へみぃ。

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