キーボード個別面談

NMB RT235BTWJP (COMPAQブランド)

NMB RT6652TWJP
種類 日本語109キーボード
メーカー NMB
(販売元:コンパック)
キースイッチ メンブレンシート
アクチュエータ ラバードーム
キートップ印刷 レーザー印刷
コネクタ PS2

NMBの解答

世の中PCはドンドン安くなり、20万円が当たり前から10万円を切るPCが珍しくなくなりました。
もちろん、各PCベンダーの努力のたまものですが、努力したからってそのままの品質で安くするのは 至難の業です。
そんなこんなで、PCベンダーが求めるキーボードの値段は、各キーボードOEM供給会社が これまでの品質を保てなくなる値段になったしまったのです。

さて、コストダウン要求はかのNMBも例外ではありません。
これまでRT6600系を供給していたNMBですが、RT6000系のコストではPCベンダの要求する値段では 供給出来ません。

そこで、作られたのがRT2100系, RT2200系, そして RT2300系です。
これらキーボードはコストダウンを優先に考えられた、廉価版キーボードです。

・・・っという感じの記事(英文:訳文は こちら) を読む機会がありまして、じゃあ、RT2000系ってどれほどコストダウンして、品質がどれくらい変わっているのかしら?という疑問がふつふつと湧いてきた次第です。 (RT2000系という呼び方はホントは相応しくないかも)

さて、詳しいコストダウンのポイントは、下の分解コーナーに譲るとして、 RT6000系とRT2000系の関係って高級機とその廉価版であったとしても、 高級機と簡易版ではないということ、それがハッキリ解りました。

今回分解したRT235Bを見る限り、 如何に質を下げずにコストを下げるかとこだわる NMBの姿勢が見えて大変好ましかったです。

まぁ、工数を減らしてコストダウンしたといっても、 世の中の標準的キーボードと比べればかなり贅沢に部品をつかい、手間もかかっています。
腐ってもNMB(と言うか、「NMBは腐させない」かしら)です。


肝心の評価ですが

RT6600と比べるとストロークが短いこと、キーボード面がカーブしてないのが気になりますが、 しっかりとした板金にスライダーの着陸脚が着地する構造はRT6600から継承しているので がたつきのなさと底突きの明快な感じは良い感じです。

ただラバードームの特製が違うため、RT6600系とは明らかに違うキータッチです。
どちらかという富士通高見沢コンポーネントのキーボードと同じ方向性を感じます。

クリック感が明瞭ではないんですね。
猫の好みとはちょっと違うかな、って感じです。

キーの重さは富士通高見沢シリーズよりも重いです。 ですが、ストロークが短いのと、底突きの感触が堅いのでイヤな感じはしません。
キーボードだけで打つときは全然よくない感じなのですが、実際に文字入力をすると 良いかも、とおもうのも富士通高見沢のもの(というか、この手のキータッチのコンセプト)と同じです。

これはRT2300系の特徴なのか、コンパックチューンなのか、不明です。
店頭でRT2200系を触った印象はやはりクリック感に乏しい感じでした。
ですが、ラバードームが黄色というのも気になりますし・・・。(猫のもっているRT6600系は緑。)

この辺をハッキリさせるために、いずれコンパックブランドのRT6600を入手するか、 コンパック以外のRT2000系のキーボードを解体しなきゃ・・(笑)。

結論としては、好みじゃないけど良いキーボードだと思います。
品質はすばらしいです。

RT2000系ってどうなってるの?

さて、今回分解したキーボードはRT235BTWJPですから素直に読めばRT2300系ということになります。
が、そのような機種はNMBのホームページ(旧カタログ)には在りません。

NMBのカタログにあり、 RT235Bに似ているキーボードはRT2200(PS2接続)、RT2400(USB接続+マウス用PS2ポート)、RT2500(USB接続)だけです。
RT2700やRT2900は別のキーボードです。(多分)

ただ、冒頭で照会した記事をでは、「RT2300」としっかり書かれているし、今回のコレの型番もどうやらそれっぽいとも思えます。

ではRT2200とRT2300の相違は何だろうか、と思うのですが それがさっぱりわからないんですよね。

真相を知っている方がいらっしゃいましたらご一報をお願いします。 m(_ _ )m

mail to 三猫へご一報

各部の詳細

キーボード背面 キーボード背面。
RT6600系と違い、ネジが多いです
ラベル キーボードのラベルです。
RT235BTWJPの文字が見て取れます。 レーザー印刷で直接刻まれています。
ラベルのレーザー印刷 ラベルを拡大してみます。
レーザー印刷なのですが、 細かく、きれいですね。
キーをハズした図 キートップを外すと、RT6600と同様のスライダーが顔を見せるモノの、 レール部が筐体上面と一体になってしまったのが解ります。

ちなみに、「/」キーの左角の下に見える突起はネジ受けです。
筐体オープン。 筐体を開けてみます。
RT6600系と違い、筐体がフレームを兼ねています。

筐体上面にキーが、下面に板金とメンブレンシート等が 固定されています。
ケーブル比較
左:RT6600  右:RT235B
ケーブルです。
RT6600は、ケーブル皮膜自体をハトメ状に成形して、 筐体の穴でぴったり止まるような構造でしたが、 RT235Bはごく普通のストレートケーブルで、 からみつけることで筐体に固定するタイプになりました。
コントローラーとの接合 コネクタで接合するRT6600系と違い、メンブレンシートとコントローラの接合は、 圧着式になっています。

メンブレンシートの一番下側の接点裏側に、スポンジが張られ、 コントローラ基盤を筐体下面にネジでとめることにより圧着します。
コントローラ コントローラ基盤です。

LEDが直付けされている点もRT6600系とは違います。
メンブレンシートと板金 メンブレンシートと板金部です。

板金部は筐体下面にネジでとめられ、メンブレンシートは 筐体とコントローラに挟まれる形で固定されます。
メンブレンシート メンブレンシートにはRT6600系と同じく ラバードームが一個一個接着されています。
ここらへんの構造は継承されているわけで、「廉価版」とかたづけられない 造りの良さが在るわけです。

RT6600のラバードームは緑(NMB、NEC、日立、東芝ブランドで確認する限りですが・・)なのですが、 このRT235Bのラバードームが黄色いのは座屈性質が違うからでしょうか?
ケース下面 コントローラ、メンブレンシート、 板金を外すと、筐体下面があらわになります。

フレームを兼ねるせいか、RT235Bの筐体は RT6600系よりもしっかりしているような気がします。

板金は1mmを超える厚さで、大変重いです。
板金 板金です。 RT6600系なんかよりも遙かに分厚い鉄板です。
RT6600系が内部フレームと板金を20余りのネジで固定して 強度を出しているのに対し、RT235Bでは板金だけで平面性を確保しなくてはならないためでしょう。

RT235Bを持ったときの恐ろしいほどの重さはこういうことだったんですね。
ケース上側 筐体の上側です。
スライドレールが筐体上面と一体化しています。
Fキーの向き スライダーの向きが「F」「J」テンキーの「5」のみ 縦にはまるようになっています。
製造時に、ポディションマーカのあるキーと、そうでないキーが 別の場所にはまらないようにするためだと思われます。
(RT6600ではすべて同じ向き)
キートップとスライダー キートップとスライダーです。

キートップがRT6600系よりもかなり薄いのはよいのですが、 キートップの下側、奥のほうに、突起が出ています。
ランナーのクチバシではなくって、そう言う風に成型されています。
スライダーで押下 分解する前は、底突き感をあげる為のスライド・ストッパーかとおもいましたが、 このようにRT235BもRT6600と同様にスライダーの「着地脚」で板金に着地するので そういうわけでもなさそうです。

第一ストッパ目的なら、最低でも2脚ほしいところですし・・。
押下したところ
左:RT6600  右:RT235B
キーを押下してみると、RT235Bはちょうどストッパ程度の高さで 止まり、他の部分に隙間ができます。
ちょうどキートップがレール上端とふれる高さにあわせてあるようです。
(写真では筐体上面のみの状態のため、ポッチが接地するが、 ホントはわずかにつかない。)

RT6600系はそういう「隙間」をつくるようなことはしていません。
ネジ穴受けのでっぱり なぜこんな隙間を作っているのかと調べたところ、 どうやら、キーボードの構造を筐体のみにして、フレームを省いたため、 筐体上面にネジを受ける分だけの出っ張りを作らなくてはならなくなり、 そのため、キーを浮かす必要があったようです。

キートップにポッチ状のものがついているのは、組み立て時に 置いたキートップが安定するようにではないでしょうか?
キートップ比較 左:RT6600  右:RT235B RT6600系のキートップと比較します。
RT235Bのほうが圧倒的に薄いです。

それと、RT6600はステップスカルプチャーを実現するために 各段のキーで高さが異なりますが、RT235Bでは、全段すべてで 共通の形状をしています。
・・あれ、と、いうことは・・?
ステップ構造 横から見ると案の定、階段上になっていても、湾曲配置はしていないように見受けられます。
ステップ構造の確認 わかりやすいように定規を載せてみます

各段のキーの右角が必ず定規にふれていますので、湾曲配置にはなっていません。

ステップ構造ですね。
注意書き コンパックお得意の注意書きです。
猫はキーボードのデザインを損ねるような気がして嫌いなのですが、 レーザー印刷のため除去はほぼ不可能・・。

<総合評価>

キートップの手触り 特質すべき点はなし。
打ったぞ感(クリック感) 不明瞭。ストロークも短い。
省指力 押下圧は低くはなさそうだが、良好。
対腱鞘炎 ステップ構造が少々マイナス点。
コストパフォーマンス 質を考えるとかなり高い。
三猫のおすすめ度 ★★★★☆