キーボード個別面談

MITSUMI KFK-EA9XA(Owltech KFK-109PS2(B))

MITSUMI KFK-EA9XA
種類 日本語109キーボード
メーカー MITSUMI
キースイッチ メンブレンシート
アクチュエータ ラバードーム
キートップ印刷 レーザー印字?
コネクタ PS2

なぜだか心にひっかがるキーボード

Owltech KFK-109PS2(B)という名前で売っている、 どこに出もありそうな平凡な顔をしたキーボードです。 猫も本機を初めて触ったとき、「ああ、良くある安くってこだわりの無いキーボードだな」と思いました。

軽い筐体とフカフカしたキータッチ、そしてとってもリーズナブルなお値段がそう思わせたのですが、 今思えば未熟と言えましょう。 快楽度の低いキーボードなのは事実なのですが、 このキーボードのキータッチは何故か心の琴線に触れるのです。

なんというか、打鍵に安っぽさをあまり感じないのよね・・。 クリック感に乏しいくせに、粘りやひっかがりを感じない。キレがあるんです、このキーボード。

私、脱いだら凄いんです。

なんだかよくわからない出だしでスタートした本キーボードのレビューですが、 一言で言えば、富士通高見沢系の方向性を感じます。 つまり、おもしろみの無いキータッチなのだけど、反面アクもなく、 入力作業時には思いのほか打ちやすくとても頼りになる、そんなキーボードです。

富士通高見沢のものより微妙にスライドにペト付き感を感じるものの、 かなりスムーズ。スライドによるノイズ感のなさは、 最近のMSやロジテックのキーボードと比べると一目瞭然で、なかなかのレベルです。
底付きの感触に関してはハッキリ言って富士通高見沢より上。 ほんと〜に、華は無いのですが、フニャフニャ感の中にも シャキっと筋が通った感じのする打鍵といいましょうか、 高そうな演出もないけど全てを手堅く押さえたこの感触は、 安っぽさを微塵も感じさせず、慣れてくると悪くない、悪くないわと思います。

この打鍵感の秘密は何かしら、と早速分解してみたところ、 なんと入っていたんです、鉄板がっ!

本機はとっても軽いので猫としてはまったく予想をしておらず かなりビックリさせられました。 と同時に「なるほどなあ」と思ったわけで、 なるほど、やっぱりこういうのって打鍵感に出るもんなのねと改めて思いました。

そのほかにも分離ラバーキャップを採用していて、 NMBの様に接着固定はされていないモノの、筐体形状の工夫により 板金と筐体とでカップ淵をクランプして固定するなど、 なるほどノイジーな感じを受けないわけです。

ここまでがんばっているなかで意外なのはスライド機構。 スライダもレールもキートップや筐体と一体の構造で、材質の問題を潤滑剤でごまかすよくある今時の構造です。 ここはコスト的にどうしようもなかったのか、唯一こだわっていない構造をしています。

でも本機のスライダにはこれでもかっ!というくらい潤滑剤が塗ってあり、 素材的・構造的な弱さを補ってあまりあるほど。非常にスムースです。 怖いのは潤滑剤切れだけかしら。

という風に開けたら凄いんです、このキーボード。 きっと設計者は本当にキーボードが好きなんだなぁって思います。愛だわぁ。

自己主張が弱いけど、いいキーボード

本機はキーも軽めで、フカフカだけど微小クリック感もありなんといっても底付きがしっかりしています。 万人に嫌われない反面、なかなか良いキーボードと評価してもらえないキータッチでもあります。

正直、猫は同じような値段ならば Microsoft の Basic Keyboard の方が好みです。 でも、キーボードの「格」は明らかにコッチの方が上だとおもうんです。

Basic Keyboardは品質の低さをチューニングでフォローしているキーボードです。 だから、スライド時にノイズが入っても、底付きにキレがなくても 気持ちよく打鍵できる。そういった意味で猫はBasic Keyboardを高く評価しています。

しかし、同チューニングしようともにじみ出る品の格は隠せません。 Basic Keyboard や Space Saver II Keyboard は好きでも使っているうちに ふと「好きなんだけど、もうちょっと○○だったらな〜」とため息の出る瞬間があります。

本機の打鍵感にはふとしたときに感じる品の良さがあります。 普段は良いとか好きとかは思わないで、ただひたすら打ちやすいと思うだけ。 でもふっと、「あ、これ凄いキーボードかもしれない」って思うんです。

このキーボードをポンっと渡してちょっと触って「いいねぇ〜」と言う人は少ないでしょう。 でも長く使って手の一部のようになって「オレ、このキーボードは手放せないなぁ・・。」という人は きっと居るはずです。地味だけど愛される、そんなキーボードです。

各部の詳細

背面 スリムで格好いい背面です。
最近のキーボードではなかなか見れないシンプルさは 剛性を筐体の構造に頼らなくても良いからでしょうか。
ケーブル巻き取り機構 本機のオーソドックな外観のなかで唯一の、そしてひときわ目立つ ケーブル巻き取り機構。
普通の人はキーボードなんてつけたらつけっぱなしだと思いますが、 マニアには収納に移動に嬉しいギミックです。

・・これがテンキーレスについてたら大絶賛しちゃうんだけどな〜。
ラベル Owltecブランドを掲げながらMISTUMIを隠そうともしないのはどういう戦略なのでしょうか? ダブルブランドを狙っているのか、箱にも Produced by MITSUMIとでっかく書いてあります。

でも型番はMITSUMIのときは「KFK-EA9XA」でとOwltecでは「KFK-109PS2」と違うっちゃうのが何だかなぁです。
チルトスタンド チルトスタンドはいたって普通のチルトスタンドです。

本機は薄く、ステップ・スカルプチャの湾曲も緩いため、 チルトスタンドは立てて使いたい所です。
ステップ・スカルプチャ 本機はきちっとしたステップ・スカルプチャ機です。

最初横から見たときあまりにカーブが緩いので、 例のエセ・ステップ・スカルプチャかと思いましたが、 キートップを外して比較してみると微妙ながら全段別形状でした。
キートップを外す キートップを外してみると、スライドのスムース差から受ける印象とは異なり、 スライダ・レールともに独立していないタイプです。

一見、ひっかがりやすいと定評のある(^^;)NMBの同タイプとスライダ形状は似ていますが、 本機はまるでひっかがりませんし、不快な摩擦感もありません。

スライダはフラットな角柱なのですが、 奥と手前は隅を残して真ん中が帯状に削られています。
キートップ 本機のスライドの良さに大きく影響しているのが潤滑剤です。 キーを引っこ抜くと結構ペットリと塗ってあります。
潤滑剤で滑りやすくしたからスムースなスライドが得られるのではなく、 潤滑剤を使うのを前提にスライダとレールの遊びを少なくし、接点をすこし広めにとったせいかな? って思います。
筐体を開ける 本機の軽さから予想もしていなかったのでビックリしたのですが、 本機はなんと板金入りです。

筐体上面としっかりネジ止めされているおかげで底付きの気持ちよさや スライドのノイズ感のなさが得られているわけで、 なるほどなぁ、と思いました。
剛性があれば遊びのすくない設計が出来ますし、 遊びがすくなくて歪みにくければ打鍵に品が生まれます。
コントローラとプレート コントローラチップは最近よくあるCOB実装です。
コントローラ基盤の小型化には良いのでしょうが、 チップの型番を見てどうのこうのという話が出来ないのがとても寂しく感じます。
DIPのコントローラは新型ではもう出てこないんでしょうか?
タイラップ ケーブルのついた器機にとってケーブルを引っ張ったときの対策は重要で、 キーボードでも皮膜に出っ張りをつけたり、ケーブルを 狭い柱の間に巻き付けたりして対策を取っていますが、 本機はケーブルをタイラップで板金に固定し、引っ張り断線を防いでいます。

シンプルの上に効果的なナイスアイデアです。
板金を外す 板金を外します。

う、ラバーキャップ独立型です。・・・組み立てるの大変なのよね。 筐体をオープンしたことを激しく後悔する瞬間です。
ラバーカップいっぱい シリコンのラバーキャップはとてもきれいです。

全てのキーで同じキャップを使っています。 独立キーキャップは、メンブレンシートに接着するとか、筐体上面に くぼみがあってそこに落とし込んでいるというわけでは無いので 組み立てるのに不安を覚えました。が・・。
ラバーカップ ThinkPad600のキーボードのラバーキャップに似た見栄えです。 鍵人さんとこによると シリコンラバーキャップは経年劣化に強いらしいですが、こちらはどうなんでしょう?

クリック感は強くないけど実はハッキリあるので、下手ってしまうと打鍵感が大きく変わるかもしれません。
ラバーカップの固定 筐体上面にラバーキャップの淵をクランプするでっばりがあり、 板金を固定する際にラバーキャップはしっかりと固定されます。
用はNMB RT6600系やRT2300系なんかと同じ効果が期待出来る訳です。
コントローラ基板 コントローラとメンブレンシートの接続は、もはや当たり前の感のある 接点圧着です。
コントローラ裏 LEDが付いていることと、MITSUMIのロゴがあることくらいしか見るところがありません。 このコントローラは部品がすくなくっていい感じですね。
グラビア 良さに気づかれずに何気なく職場等に転がっていそうなキーボードです。
ぜんぜん自己主張しないクリック感はPC未接続時には魅力はわかりにくいでしょうから、 店頭販売に向いていないかもしれません。そこらへんは富士通高見沢系と一緒です。

一言で言えば、華はないけど品のある、そんなキーボード。打鍵はとても静かです。
これのテンキーレス版、ほしいなぁ。

<総合評価>

キートップの手触り 普通のプラだがちょっと細か目の梨地処理が良い。
打ったぞ感(クリック感) 快楽的なクリック感はないです。
省指力 かなり軽いキーです。疲れにくさは二重丸。
対腱鞘炎 形状的には何の工夫もありませんが、キータッチが軽くて粘りの無いタイプのため、良好かもしれません。
コストパフォーマンス 非常に高いです。
三猫のおすすめ度 ★★★★☆