キーボード個別面談

Cherry G80-11900LPMJA

Topre Realforce 89
種類 日本語109キーボード
メーカー Cherry
キースイッチ メカニカルスイッチ(Cherry MXリニア)
アクチュエータ スプリング
キートップ印刷 レーザ印刷
コネクタ PS/2 ×2(キーボード・タッチパット)

日本語 Cherry

猫は Cherry MX黒軸こと MXリニアアクションスイッチが大好きです。 そして猫はキーボードマニアにしては珍しく日本語キーボードをホームにしています。 この二つの条件を満たすのはFILCO FKB91JU くらいで、猫はこのキーボードをとても気に入っているのですが、 鉄板剛性に頼りすぎた華奢な筐体、隙間を徹底的に排除した変態配列などの マイナス面が気にならないと言えば嘘になります。

ここは一つ、純正CherryのMXリニアを使いたいところなのですが、 いかんせん舶来メーカ、普通に日本語配列がないのは困ったモノです。 うーん何とかならないかしら・・・。

そんな折りに CherryのG80-11900の日本語版がとあるお店に入荷したとの朗報を聞けば 止めどなく沸き上がる物欲を押さえることは猫には不可能です。 ああ、日本語リニアCherry・・・。なんという神様の巡り合わせ。 ココで買わなきゃ猫が廃る、と即買いするのは当然の流れ。 それが FKB91JUとどっこいどっこいの変態配列と知りながらも・・・。。

ああ、恐るべきは Cherry 黒軸の魔力よ・・・。

素晴らしい打鍵感にうっとり・・。

FKB91JUのレビューでは 「微妙な違い」と表したCherry版とダイヤテック版ですが、 いざ入手してみると、あれあれ、これは全然違うだわ。 同じスイッチでこんなに打色が変わるのか、というくらい本機の打鍵感は91JUと違います。

手に取ってみると本機はビックリするほど軽いです。筐体自体はなかなかの肉厚形成で しっかりしているのですが、本機のMXスイッチはPCB(プリント基板)直実装タイプで 鋼板がありません。 そのためでしょうか、 本機は91JUで感じた、リノリウムの床を連想させる美しく硬質で透明な打鍵感が 大きく目減りしてしまっています。 鋼板固定にくらべPCBのたわみやそれを支える筐体のたわみという要素が 大きく混じってしまうことを考えれば当然です。

しかし本機の場合、それをなぜかノイジーには感じず、 むしろ添えられた「ポコポコ」フレーバーに気持ちよさすら感じさせます。 言うならば「打色が落ち着いている」「柔らかい打鍵感」でしょうか。 そして91JUよりも「打ちやすい」と感じます。

91JUの打鍵感は「カタカタ」「カンカン」といった感じなのですが、 本機の打鍵感は「コトコト」といった感じで、なるほど固定の仕方の違いを見るに「さもありなん」な感じ。 この打色の違いのお陰で本機の打鍵感からは91JUにあった「跳ね回るような感触」は影を潜め、 落ち着いていて穏やかな印象を受けます。

本機の静かで僅かに乾いた感のある落ち着いたキータッチは、 打っているととても心を穏やかにしてくれます。 本機の「コトコト、コトン」という穏やかな打色は、 肩から首筋にかけてじわっと染み渡るような気持ちよさがあります。

また、この打色の違いのお陰で、本機は91JUに比べてとても打ちやすく感じます。 リニアの持つ独特な気持ちよさの源は、 クリックを感じるまで力を入れ続けるのではなくキーに触れるように打てること。 キータッチに抑揚が付けられるというのはなれるとこの上もなく気持ちよいのですが、 なかなか難しいところです。 本機の場合こういう打ち方がよりやりやすいと感じます。(実際、ミスタッチが減りました。) 加えてキーが軽くなったような感じもうけます。

好みの問題だとは思うのだけれど、猫にとってはFKB91JU以上に素敵な打鍵感に感じます。 猫はこの打鍵感にぞっこんです。

配列に難あり

そんな素敵な G80-11900ですが、大きな大きな欠点があります。 それは見ての通り変態配列であるということ。ファンクションキー、機能キーの周辺など 大きく崩れたキーレイアウトには抵抗を覚える方も多いと思います。 しかし、そんな変態さなんて吹き飛ばしてしまうくらい 強烈は変態がこの日本語後11900には潜んでいます。 スペースキーが中心から大きく左にオフセットしてるのです。

本機のスペースキーはキーボードの中心線 "B"の半分くらいの位置までしかありません。 キー一つ分は優に足りない感じで 普通のキーボードのを使う感覚では、 右親指では「変換」キーを押してしまいます。 ああ、コレを設計した人は日本人じゃないに違いない・・・。(TT)

正直なところ、「ど〜しても日本語モデルじゃなきゃダメっ!」なのでなければ、 絶対英語モデルを買うべきです。 91JUといい、本機といい、Cherryの日本語配列って呪われているんじゃないかしら。

ただ、慣れというのは恐ろしいモノで、最近では 猫の手は本機を打つときだけ左親指でスペースを押すようになりました。 (他のキーボードでは相変わらず右親指でスペースを打っているにもかかわらずです) うーん、凄いぞあたし。(笑)

多幸感に浸るキーボード

猫はこのキーボードが大好きです。 火事のときに一台だけ持ち出すキーボードがあるとすれば、 本機であることは間違い有りません。 猫はこのキーボードを入手してからメインのキーボードを交代していません。 (これは猫にとってとてつもない快挙です)

91JUの打鍵感は猫に歓喜を与えてくれます。 美しく響く打鍵感に心は躍り、とてもとても魅惑的な快楽に猫をどっぷり沈めます。 一方、本機の打鍵感は猫を穏やかで落ち着いた気分にしてくれます。 劇的な感情を呼び起こしたりはしません。 MXリニアの劇的なインパクトこそ減じていますが、 その分じわじわっと猫の心に染み渡り、幸福で穏やかな気持ちにしてくれます。

どちらも魅力的なのだけれど、猫は本機の打鍵感をより愛しています。 配列の難もあたしにとっては些細なことにすぎません。猫はこの打鍵感のなかで 文章をかけるだけでとても幸せなのです。

各部の詳細

正面 本機は省スペースフルキーボードです。 小さいスペースに109キーとポインティングデバイスを押し込めたため、 かなり変則的な配列になっています。
幅は良く抑えられているモノの、奥行きは普通のキーボードより長いです。

本機は見た目よりもかなり軽く、悪く言えばスカスカ・ポコポコした印象がありますが、 「安っぽい」とか「やわい」という感じは受けない微妙なところ。重さだけが足りない感じです。
ロゴ 謎のUNISYSロゴです。

本機は外箱もなにもかもCherry印なのですが、 なぜかキーボードのロゴだけUNISYS。しかも曲がっています(^^;

はがすとCherryのロゴが出てくるのか好奇心がうずきますが、ここはガマンガマンです。
背面 シンプルな背面デザインです。

本機の筐体は比較的肉厚なプラスティックなのですが、 構造上結構空間があるため、指先でトントンと叩くとポコポコといい音がします。

しかし、11本ものネジでしっかり止めてあるおかげで、 ポコポコ感と同時にしっかりとした印象も受けます。う〜んへんなの。
ラベル 裏はちゃんとCherryのロゴのラベルです。

PART NO.は「G80-11900LPMJA / 04」 はQwerters Clinicさんの型番解説 によれば L:レーザ印字 P:リニア M:Winキーあり JA:日本語配列 ということに成ります。
チルトスタンド-閉 ぐるりと大きくゴム足が回り込んだチルトスタンドです。

折りたたんだときもゴム足として機能しています。
チルトスタンド-開 立てたところ。
ステップスカルプチャ 筐体横から。

メインキー部分は綺麗なステップスカルプチャーになっています。 また、奥の機能キーの高さがかなり抑えられているのが解ります。
ファンクションキー どこかで見覚えのある配列のファンクションキーです。

慣れればどうと言うことはないのですが、うーん、しみじみ使いにくいです。

ここだけみると同じ省スペースでもG80-18000シリーズのほうが 良く思えますが・・・、
機能キー ・・・機能キーの配列とトレードオフと考えれば、猫は断然本機の配列を取ります。 というのも、 G80-18000シリーズだと、テンキーと機能キーがベッタリくっついてしまっているのです。

それに引き替え本機の場合、機能キーは並びを崩さずそのまま上に移動していてなかなか良い感じです。 ただし [PrintScrean][ScrollLock]キーがくっついた変則配置で、ソコだけは注意が必要です。 (なぜにPauseだけ仲間はずれなのかしら・・・。)
詰め込みテンキー テンキーとタッチパッドです。

テンキーは、まったく標準の並びで、ここもG80-18000に比べて良いな、と思うところです。

サーバーラック用途ということでポインティングデバイスも付いています。 ノートPCでおなじみのオーソドックスなタッチパッドですが、 G80-119000シリーズにはタッチパッドではなくてトラックボールのものもあります。

猫はそっちのほうがよかったな、と思うのですが、 日本語・MX黒軸、G80-119000シリーズ と三拍子そろっただけでも 奇跡というもの。贅沢は敵です。
タッチパッド で、タッチパッドです。

猫はタッチパッドは大の苦手デバイスなので、ごめんなさい、評価できないです。
左に寄ったスペースキー と、ここまでは変則配列ながらも、ん〜、まぁまぁかしら、といった感じなのですが、 ところがどっこい、非常に大きなくせ者がいます。それはスペースキーの位置です。

赤で囲ったのが左右人差し指のホームキーなのですが、見ての通り スペースが完全に左に寄っていいます。・・・へ、変態さんだぁ・・。
右親指でスペースを打つ人は要注意です。(猫は左手打ちに矯正しました(TT))
キートップをはずす キートップを外せば素敵な Cherry MX リニアアクションスイッチが顔を出します。
エンターキーをはずす エンターキーもやっぱりチェリーMX黒軸です。

スタビライザーはCherryで共通の作りで キートップとは十字コネクタを介して接続されます。
スペースキーをはずす スペースバーはチョット違くて灰色の軸です。

やっぱりリニアなのですが、他のスイッチよりもすこし重くなっています。
筐体オープン 筐体オープン♪

筐体の肉厚は比較的厚めと言ったところ。 最中式の筐体で、あんの部分は皮に挟み込まれることで固定されています。
基板群 で、あんの部分です。これだけでキーボードとして機能します。

メインのコントロール基盤は別ボードになっていて、裏側に回り込んでいます。 ふむ〜、こうやって省スペース化しているわけですね。
基板群 裏 表側とうってかわって鮮やかな緑がまぶしい基盤裏側です。

こちら側には殆ど部品が実装されていません。
基板とMXスイッチ このようにキースイッチは直接基盤状に固定されています。 若干ポクポクめの柔らかい打鍵感はPCBのわずかなたわみのお陰だと 思います。
MXスイッチ 魅惑のMXスイッチ黒軸です。クリック感すら排除してしまった美しい打鍵感がウリですが、 クリックの無いせいで使用には慣れが必要なのが玉に瑕。

猫は黒軸が大好きなのですけれど、 最近のブームは茶軸の様です。
MXスイッチの固定 スイッチを裏側から。

上の大きいハンダ盛りの二つがスイッチの端子で、 下の小さいハンダ盛りがジャンパーだそうです。(下の二つの間は スイッチの中で繋がっています。)

Cherry MX スイッチにはこのタイプの他に、 スイッチを金属板にマウントするモノがあり、 FKB91JUなどは鋼板マウントタイプです。
基板 タッチパッド側 タッチパッドの裏の部分です。

タッチパッド自身は筐体上カバーに固定されているので、 基盤側にはボタンのスイッチとケーブルしかありません。

ちなみにフラットケーブルの真ん中にはめ込まれている黒いのは ノイズフィルタかなんかでしょうか?
タッチパッドのマイクロスイッチ スイッチは一応マイクロスイッチです。
タッチパッド裏 で、タッチパッドの本体はこちら。

特殊なネジで固定されていたため、分解はここまで。 (タッチパッドに愛がないので、工具を買ってこようと言う気になりませんでした(^^;))
メイン基板 メインのコントロール基盤です。

でんっ、とDIPパッケージのコントローラチップが乗っています。
メイン基板裏 そしてその裏側。

本当に何も実装されていません。
コントローラチップ コントローラチップです。
チェリーマーク オマケ。

基盤上に燦然と輝くCherryのマークです。うん、かわいい。
ボトムケース と、いうわけで筐体下側です。
本機には金属板が無いため、筐体下面が直接プリント基板を支えます。 そのための梁が走っていて必要十分な剛性は確保している感じ。 それでもやはり微妙にたわむののか、本機の底付きはかすかに「柔らかい」のです。

ただ、それが打ちにくいかというと、むしろ好ましく感じてしまうあたり、 キーボードというのは難しいものだわ、と思います。
キートップ キートップです。

ErgoPlusのような二色形成のモノと比べ、 キートップが薄いのが残念です。
ステップスカルプチャ形状のキー 各段のキートップを並べたところ。 キートップの形状をかえてカーブ形状を作り出すおなじみの手法です。
レーザ印字 キートップのアップ。レーザ印字が解りやすいようにWinキーです。

本機のレーザ印字はとても目が細かくて綺麗です。
ケーブル 本機はポインティングデバイスを含むため、先っぽが二股になっています。

若干太めであるもの、 途中まではちゃんと1本のケーブルになっているので取り回しは良いです。
グラビア 本機のレビュー正直レビューになってません。 猫はこの子にぞっこんで、何を書いても「はにゃ〜ん」な感じにしかならないからです。

リニア本来の魅力と、それにプラスされたなんともいえない優しい打鍵感に このキーボードでいつまでも打ち続けていたいと思わせます。

省スペースフルキーボードは嫌いとか、スペースバーが信じられないくらい変態ですとか、 そういうのがどうでも良くなるくらい、猫は本機の打鍵感にぞっこんなのです。

総合評価

キートップの手触り それほど肉厚は無いのですが、梨地形成が気持ちよいです。
打ったぞ感(クリック感) クリック感は有りませんが底付きのコトコトとした響きに気持ちよく「打ったぞ」と感じます。
省指力 打ち方にコツはいりますが、なれれば非常に弱い力で打てるキーボードです。
対腱鞘炎 形状的工夫はありません。
コストパフォーマンス コストに見合ったパフォーマンスですが、絶対的に高いと感じる点は否めません。
三猫のおすすめ度 ★★★★
人を選ぶもののそれでも比較的扱いやすく、疲れにくく、気持ちよくて、打ちやすい。 打鍵感的には文句なしに五つ星超なのですが、いかんせんスペース右打派には地獄の配列。 ★ひとつ減は甘々かしら。 ただ、左打ちに矯正する価値もあるなぁとも思うのです。